SAP-C02-142 · セクション 16 / タスク 3.5
Network / Data Transfer Costを分析する
Internet Egress / Inter-AZ / Inter-Region / NAT Gateway / データ処理 / トラフィックフロー / データ転送コスト
既存環境では、ネットワーク料金の構造と、
送信元
↓
経路
↓
送信先
↓
発生するデータ転送コストの対応関係を把握できているものとします。
また、通常状態と一時的な変動を分け、現在のコストベースラインも把握済みとします。
ここで行うのは、
どの経路へ変更するかを決めることでも、
料金体系を再計算することでもありません。
ここでは、既に把握したネットワーク実績を使って、
現在の総コストの
どこに金額が集中しているか
+
トラフィック増加によって
どのコストが大きくなりやすいか
+
改善しても
最大でどの程度の金額に
作用できるかを定量化します。
ゴール
既存環境について、
ネットワーク / データ転送総コスト
↓
料金カテゴリ別
+
トラフィックフロー別
に金額を分解
↓
コスト構成比を算出
↓
トラフィック量増加時の
コスト影響を確認
↓
改善候補が作用できる
金額範囲を把握
↓
優先して詳細検討する
コスト領域を絞ることがゴールです。
このページでは、
VPC Endpoint
Amazon CloudFront
AZ配置変更
リージョン配置変更などの具体的な改善策は選択しません。
「何を変更するか」ではなく、「どのコスト領域を改善できれば全体への影響が大きいか」を分析します。
1. ネットワークコスト全体に対する構成比を見る
最初に確認するのは、
各料金カテゴリが
ネットワーク関連コスト全体の
何%を占めるかです。
例えば、月間ネットワーク関連コストが100万円で、
| コスト領域 | 月額 |
|---|---|
| Inter-AZ | 40万円 |
| NAT Gateway データ処理 | 30万円 |
| Internet Egress | 20万円 |
| Inter-Region | 10万円 |
なら、
Inter-AZ
40%
NAT Gateway データ処理
30%
Internet Egress
20%
Inter-Region
10%です。
これにより、
Inter-AZ
+
NAT Gateway データ処理
=
全体の70%と分かります。
ここではまだ、
Inter-AZを減らす
NAT Gatewayを変更するとは判断しません。
まず、現在のネットワークコストがどこへ集中しているかを定量化します。
2. 金額だけでなく「全体に対する割合」で見る
例えば、
月10万円というコストが高いか低いかは、環境全体によって意味が変わります。
環境A
ネットワーク総コスト
20万円
対象コスト
10万円
→ 50%環境B
ネットワーク総コスト
200万円
対象コスト
10万円
→ 5%同じ10万円でも、
50%と、
5%では全体への影響が異なります。
したがって、
金額
+
構成比の両方を確認します。
3. 料金カテゴリとトラフィックフローを別の切り口で集計する
同じ実績データでも、
料金カテゴリ別と、
トラフィックフロー別では見えるものが異なります。
例えば、既に各フローへコストが帰属済みで、
| フロー | 主なコスト領域 | 月額 |
|---|---|---|
| A | Internet Egress | 25万円 |
| B | Inter-AZ | 35万円 |
| C | Inter-Region | 10万円 |
| D | NAT Gateway データ処理など | 30万円 |
なら、
フローB
35%
フローD
30%です。
この場合、
上位2フロー
=
65%を占めています。
料金カテゴリ別集計では、
どの種類のネットワークコストが大きいかを確認できます。
トラフィックフロー別集計では、
どの通信が
ネットワークコストへ
大きく寄与しているかを確認できます。
この2つを区別します。
4. Internet Egressのコスト寄与度を見る
Internet Egressについても、料金の発生条件そのものは前提知識とします。
ここで確認するのは、
Internet Egressが
総ネットワークコストの
何%を占めるかです。
例えば、
総ネットワークコスト
80万円
Internet Egress
32万円なら、
32 ÷ 80
=
40%です。
Internet Egressが全体の40%を占めているなら、この領域に改善余地が存在した場合の全体インパクトも大きくなり得ます。
一方、
Internet Egress
2%であれば、仮に大幅に改善できたとしても、現在の総ネットワークコストへの影響には上限があります。
5. Inter-AZ / Inter-Regionも同じ尺度で比較する
Inter-AZやInter-Regionも、
料金が発生しているというだけではなく、
総ネットワークコストに
どの程度寄与しているかを確認します。
例えば、
Inter-AZ
45万円
Inter-Region
5万円
総ネットワークコスト
100万円なら、
Inter-AZ
45%
Inter-Region
5%です。
この段階では、AZやリージョン配置を変更するかは決めません。
定量的に、
どちらのコスト領域が
全体へ大きく作用しているかを把握します。
6. NAT Gatewayではデータ処理コストの占有率を見る
NAT Gatewayについても、データ処理料金の仕組みそのものは前提とします。
確認するのは、
NAT Gatewayのデータ処理コストが
ネットワーク関連コスト全体に
どれだけ寄与しているかです。
例えば、
総ネットワークコスト
120万円
NAT Gateway データ処理
36万円なら、
30%を占めています。
さらに、既にトラフィックフロー別に帰属できているなら、
NAT Gatewayデータ処理
36万円
うち
フローA 28万円
フローB 8万円のように、NAT Gateway関連コストの中でも、どのトラフィックフローへ金額が集中しているかを確認できます。
7. トラフィック量の増加に対するコスト露出を見る
現在のコスト構成比だけでは、将来の影響を十分に判断できない場合があります。
例えば、あるトラフィックフローが、
現在
2 TB / 月
関連する
データ転送・データ処理コスト
8万円 / 月だとします。
今後、同じ通信パターンのまま、
8 TB / 月まで増える見込みなら、データ量に応じて発生するコスト領域も大きくなる可能性があります。
単純化して、単価構造などの条件が同じでコストがデータ量に比例する部分だけを見ると、
2 TB
→ 8万円
8 TB
→ 約32万円となります。
ここで見るのは、
現在8万円だから小さいではありません。
トラフィック増加に対して
コストがどの程度
大きくなり得るかです。
8. 現在の大口コストと将来の大口コストは一致しない場合がある
例えば2つのフローがあります。
フローA
現在
8万円 / 月
2 TB / 月
今後
8 TB / 月へ増加予定フローB
現在
18万円 / 月
通信量はほぼ一定現在は、
B > Aです。
しかし、Aのデータ量に応じて発生する部分が4倍になれば、
A
約32万円相当となる可能性があります。
そのため、
現在の構成比
+
トラフィック増加時のコスト影響の両方を確認します。
現在最大のコスト領域だけが、将来も最大とは限りません。
9. 改善できる金額には上限がある
あるコスト領域が全体に占める金額は、その領域を改善したときに総コストへ作用できる金額の上限を考える材料になります。
例えば、
総ネットワークコスト
100万円
対象フロー
5万円なら、そのフローだけを対象とする改善によって、
100万円
↓
大幅に50万円削減することはできません。
極端に、
対象フローのコストを
100%削減できると仮定しても、
削減上限
5万円
=
総額の5%です。
実際には100%削減できるとは限らないため、これはあくまで理論上の上限です。
10. 小さなコストを100%改善するより、大きなコストを一部改善する方が効く場合がある
総ネットワークコストが100万円で、
領域A
50万円
領域B
5万円だったとします。
Bを100%削減
5万円削減Aを20%削減
50万円 × 20%
=
10万円削減です。
つまり、
削減率が高いことと、
総コストへの影響が大きいことは同じではありません。
分析では、
対象コスト額
×
削減可能割合の両方が重要です。
このページでは具体的な削減可能割合を決定するのではなく、対象となるコスト額が全体のどこに集中しているかを先に明らかにします。
11. 複数の改善候補を同じ尺度で比較する
例えば総ネットワークコストが100万円で、
| 領域 | 現在コスト | 構成比 | トラフィック傾向 |
|---|---|---|---|
| Inter-AZ関連 | 42万円 | 42% | 増加 |
| NAT Gateway関連 | 30万円 | 30% | 横ばい |
| Internet Egress | 18万円 | 18% | 横ばい |
| Inter-Region | 10万円 | 10% | 横ばい |
なら、
現在のコスト集中
↓
Inter-AZ + NAT Gateway
=
72%です。
さらにInter-AZ側のトラフィック量が増加しているなら、
現在の寄与度が大きい
+
将来のコスト露出も増える領域として、詳細分析の優先候補になります。
ここで重要なのは、
Inter-AZだから改善することではありません。
定量的なコスト影響が大きいため、次の詳細検討へ送るという判断です。
12. 改善アーキテクチャの選択とは分離する
この分析の結果、
Inter-AZ
42%
NAT Gateway関連
30%と分かっても、
AZ配置を変える
VPC Endpointを使うと自動的に決まるわけではありません。
ここで完成させるのは、
現在コスト
↓
構成比
↓
トラフィック量
↓
将来増加時の影響
↓
総コストへ作用できる金額範囲
↓
詳細検討の優先候補までです。
具体的なアーキテクチャ変更では、性能・可用性・セキュリティ・業務要件などを別途確認します。
SAP-C02での判断
既存環境のNetwork / Data Transfer Costを分析する問題では、
Internet Egress
Inter-AZ
Inter-Region
NAT Gateway データ処理という単語だけで解答を決めません。
まず、
ネットワーク総コストは?
↓
各領域はいくら?
↓
何%を占める?
↓
どのトラフィックフローへ
集中している?
↓
通信量が増えた場合
どのコストが大きくなる?
↓
その領域を改善した場合
総コストのどの範囲へ
作用できる?と考えます。
決定打は、改善策の名前ではなく、ネットワークコスト全体に対する定量的な影響度です。
まとめ
Network / Data Transfer Costの分析では、既に把握した料金構造とトラフィックフローを使って、コスト影響を定量化します。
Internet Egress、Inter-AZ、Inter-Region、NAT Gatewayのデータ処理などについて、
月額
+
総ネットワークコストに対する構成比を確認します。
また、
料金カテゴリ別と、
トラフィックフロー別の両方からコスト集中度を確認します。
現在は小さいコストでも、トラフィック量が大きく増加するなら将来のコストドライバーになる可能性があります。
一方、全体の5%しか占めない領域だけを改善する場合、その領域が総コストへ作用できる金額にも上限があります。
したがって、
現在のコスト構成比
+
トラフィック増加時の影響
+
総コストへ作用できる金額範囲を確認し、詳細なコスト最適化検討へ送るネットワーク領域を定量的に絞り込みます。
理解確認
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