試験項目 1.3 · CCNA-012
Network / Broadcast / Host
Network Address, Broadcast Address, Usable Host Range, Address Classification, Binary AND, Assignment Error, /31 / /32 Exception Awareness
このページのゴール
IPv4 AddressとPrefixからNetwork Address、Broadcast Address、Usable Host Rangeを求め、提示されたAddressがSubnet内でどの役割を持つか判断できるようにする。
このページで学ぶこと
- Network Address
- Broadcast Address
- Usable Host Range
- First / Last Usable
- Address種別判定
- Binary AND
- Network/Broadcast Address誤設定
- /31 / /32例外
Page011では、サブネットマスクとCIDRプレフィックス長を読み取り、
255.255.255.192
=
/26
ネットワークビット
26
ホストビット
6
のように、IPv4アドレスのどこまでがネットワーク側で、どこからがホスト側なのかを判断しました。
しかし、マスクを読めるだけではIPv4トラブルシューティングには不十分です。
たとえば、
192.0.2.77/26
というIPv4アドレスが提示されたとき、
どのサブネットに所属するのか
そのサブネットのネットワークアドレスは何か
ブロードキャストアドレスは何か
ホストとして利用できる範囲はどこか
192.0.2.77自体は
ネットワーク / ブロードキャスト / ホストのどれなのか
まで判断できる必要があります。
Page012では、
IPv4アドレスとプレフィックスから、そのアドレスが属する1つのサブネットの範囲とアドレスの役割を求める
ことに集中します。
ここではまだ、
何台のホストを収容できるか
何個のサブネットへ分割できるか
を中心には扱いません。
まず1つのサブネットについて、
ネットワークアドレス
ブロードキャストアドレス
最初の利用可能アドレス
最後の利用可能アドレス
を正確に求められるようにします。
1. 1つのサブネットにはアドレスの役割がある
通常のIPv4サブネットでは、アドレス範囲内のアドレスには役割があります。
たとえば、
192.0.2.64/26
というサブネットを考えます。
このサブネットでは、
ネットワークアドレス
192.0.2.64
最初の利用可能ホストアドレス
192.0.2.65
最後の利用可能ホストアドレス
192.0.2.126
ブロードキャストアドレス
192.0.2.127
となります。
イメージすると、
192.0.2.64
↓
ネットワークアドレス
192.0.2.65
↓
最初の利用可能アドレス
...
192.0.2.126
↓
最後の利用可能アドレス
192.0.2.127
↓
ブロードキャストアドレス
です。
通常のサブネットでは、
最初
→ ネットワークアドレス
最後
→ ブロードキャストアドレス
その間
→ ホストとして利用可能
という構造になります。
ただし /31 と /32 にはこの通常モデルをそのまま適用しません。
この例外は後半で扱います。
2. ネットワークアドレスとは
ネットワークアドレスは、
そのサブネット自体を表すアドレス
です。
通常のサブネットでは、
ホストビットがすべて0
になっているアドレスがネットワークアドレスです。
たとえば、
192.0.2.77/26
について考えます。
/26なので、
ネットワークビット
26
ホストビット
6
です。
このアドレスについてホストビットをすべて0にすると、そのサブネットのネットワークアドレスを求められます。
結果は、
192.0.2.64
です。
したがって、
192.0.2.77/26
が所属するサブネットは、
192.0.2.64/26
です。
3. ネットワークアドレスは通常ホストへ割り当てない
通常のIPv4サブネットでは、ネットワークアドレスはサブネットそのものを識別するために使われます。
したがって、
192.0.2.64/26
というサブネットで、
192.0.2.64
を通常のホストインターフェースへ割り当てる、という考え方はしません。
たとえば、
PC-A
192.0.2.64/26
と設定されていた場合、
192.0.2.64
がそのサブネットのネットワークアドレスであるなら、
通常ホスト用アドレスとして不適切な設定
と判断できます。
ただし /31 は例外です。
そのため、
ホストビットがすべて0
=
どんなプレフィックスでも絶対にホストへ使えない
と機械的には覚えません。
4. ブロードキャストアドレスとは
通常のIPv4サブネットでは、
ホストビットがすべて1
になっているアドレスがブロードキャストアドレスです。
たとえば、
192.0.2.64/26
では、
ネットワークビット
26
ホストビット
6
です。
ネットワーク部分を維持したままホストビットをすべて1にすると、
192.0.2.127
になります。
したがって、
ブロードキャストアドレス
192.0.2.127
です。
通常のサブネットでは、このアドレスもホストインターフェース用のアドレスとして使用しません。
5. ネットワークとブロードキャストの関係
通常のサブネットでは、
ネットワークアドレス
↓
ホストアドレス群
↓
ブロードキャストアドレス
という範囲を形成します。
例:
192.0.2.64/26
ネットワーク
192.0.2.64
ホスト
192.0.2.65
...
192.0.2.126
ブロードキャスト
192.0.2.127
したがって、
サブネットの最初と最後
には通常ホストとは異なる役割があります。
トラブルシューティングでは、単にアドレスがその範囲内かを見るだけでなく、
そのアドレスが範囲内でどの役割を持つのか
まで確認します。
6. 利用可能ホスト範囲
通常ホストインターフェースへ割り当てられる範囲を、
利用可能ホスト範囲
と表現します。
通常のサブネットでは、
ネットワークアドレスの次
から、
ブロードキャストアドレスの直前
までです。
192.0.2.64/26なら、
ネットワーク
192.0.2.64
最初の利用可能アドレス
192.0.2.65
最後の利用可能アドレス
192.0.2.126
ブロードキャスト
192.0.2.127
なので、
利用可能ホスト範囲
192.0.2.65 ~ 192.0.2.126
です。
Page012では、
最初の利用可能アドレス
最後の利用可能アドレス
を実際に求められるようにします。
7. 最初の利用可能アドレス
通常のサブネットでは、
最初の利用可能アドレス
=
ネットワークアドレス + 1
です。
例:
ネットワークアドレス
192.0.2.64
なら、
最初の利用可能アドレス
192.0.2.65
です。
別の例として、
ネットワークアドレス
198.51.100.32
なら、
最初の利用可能アドレス
198.51.100.33
です。
ただしこれも通常サブネットに対する考え方であり、/31にはそのまま適用しません。
8. 最後の利用可能アドレス
通常のサブネットでは、
最後の利用可能アドレス
=
ブロードキャストアドレス - 1
です。
例:
ブロードキャストアドレス
192.0.2.127
なら、
最後の利用可能アドレス
192.0.2.126
です。
したがって、
192.0.2.64/26
では、
最初の利用可能アドレス
192.0.2.65
最後の利用可能アドレス
192.0.2.126
となります。
9. ネットワークアドレスを求める基本原理は2進AND
ネットワークアドレスを求める基本原理は、
IPv4アドレス
AND
サブネットマスク
です。
ANDは、2つのビットを比較し、
1 AND 1
→ 1
1 AND 0
→ 0
0 AND 1
→ 0
0 AND 0
→ 0
となるビット演算です。
表にすると、
| アドレスビット | マスクビット | AND結果 |
|---|---|---|
| 0 | 0 | 0 |
| 0 | 1 | 0 |
| 1 | 0 | 0 |
| 1 | 1 | 1 |
サブネットマスクとのANDによって、
ネットワークビット
→ 元のアドレスビットを保持
ホストビット
→ 0になる
ため、ネットワークアドレスを求められます。
10. 2進ANDでネットワークアドレスを求める
次のIPv4アドレスを考えます。
192.0.2.77/26
/26は、
255.255.255.192
です。
第4 オクテットだけを見ると、
IPv4アドレス
77
サブネットマスク
192
です。
2進数へすると、
77
01001101
192
11000000
ANDすると、
01001101
11000000
--------
01000000
です。
01000000
=
64
なので、
ネットワークアドレス
192.0.2.64
となります。
11. ANDで何が起きているのか
サブネットマスクの、
1
になっているネットワークビットでは、
アドレスビット AND 1
になるため、元のアドレスビットが保持されます。
一方、ホストビットではマスクが、
0
なので、
アドレスビット AND 0
=
0
になります。
つまりAND処理は、実質的に、
ネットワーク部分を残す
+
ホスト部分をすべて0にする
処理です。
その結果、
ホストビットがすべて0
のネットワークアドレスが得られます。
12. /24なら判断は単純
次のアドレスを考えます。
203.0.113.57/24
/24は、
255.255.255.0
です。
つまり、
ネットワークビット
最初の24 ビット
ホストビット
最後の8 ビット
です。
ホスト部分をすべて0にすると、
203.0.113.0
なので、
ネットワークアドレス
203.0.113.0
です。
ホストビットをすべて1にすると、
203.0.113.255
なので、
ブロードキャストアドレス
203.0.113.255
です。
したがって通常の利用可能ホスト範囲は、
203.0.113.1
~
203.0.113.254
です。
13. プレフィックスがオクテット途中にある場合
CCNAでは、
/24
のようにオクテット境界だけの問題とは限りません。
例:
198.51.100.45/27
を考えます。
/27は、
255.255.255.224
です。
第4 オクテットについて、
45
=
00101101
224
=
11100000
です。
ANDすると、
00101101
11100000
--------
00100000
です。
00100000
=
32
なので、
ネットワークアドレス
198.51.100.32
です。
14. ブロードキャストアドレスを2進数から求める
先ほどの、
198.51.100.45/27
ではネットワークアドレスが、
198.51.100.32
でした。
/27なので、
ホストビット
5 ビット
です。
ネットワークアドレスの第4 オクテットは、
00100000
です。
ホストビットをすべて1にすると、
00111111
になります。
10進数では、
63
です。
したがって、
ブロードキャストアドレス
198.51.100.63
となります。
15. ホスト範囲まで求める
ここまでで、
198.51.100.45/27
について、
ネットワークアドレス
198.51.100.32
ブロードキャストアドレス
198.51.100.63
と分かりました。
したがって通常の、
最初の利用可能アドレス
198.51.100.33
最後の利用可能アドレス
198.51.100.62
です。
まとめると、
198.51.100.32
ネットワーク
198.51.100.33
最初の利用可能アドレス
...
198.51.100.62
最後の利用可能アドレス
198.51.100.63
ブロードキャスト
となります。
16. 提示されたアドレス自身の役割を判定する
ネットワーク / ブロードキャスト / ホスト範囲を求める目的の1つは、
提示されたIPv4アドレスが何のアドレスなのかを判定すること
です。
たとえば、
198.51.100.32/27
について計算した結果、
ネットワーク
198.51.100.32
ブロードキャスト
198.51.100.63
なら、
198.51.100.32
はネットワークアドレスです。
同様に、
198.51.100.63/27
なら、
ブロードキャストアドレス
です。
そして、
198.51.100.45/27
なら、
利用可能ホスト範囲
198.51.100.33 ~ 198.51.100.62
の中に入るため、
通常ホストとして利用可能なアドレス
です。
17. ネットワークアドレスの誤設定を見抜く
次のホスト設定を考えます。
IPv4アドレス
203.0.113.96
プレフィックス
/27
まずネットワークアドレスを求めます。
/27なので、第4 オクテットのマスクは、
224
=
11100000
です。
96は、
01100000
です。
ANDすると、
01100000
11100000
--------
01100000
つまり、
96
のままです。
したがって、
203.0.113.96/27
のネットワークアドレスは、
203.0.113.96
です。
つまり提示されたアドレス自身がネットワークアドレスです。
通常ホストインターフェースのアドレスとしてこの値が設定されているなら、
ネットワークアドレスをホストへ割り当てようとしている誤設定
と判断できます。
18. ブロードキャストアドレスの誤設定を見抜く
同じサブネット、
203.0.113.96/27
について考えます。
ネットワークアドレスは、
203.0.113.96
です。
ホストビットをすべて1にすると、
203.0.113.127
がブロードキャストアドレスです。
したがってホストインターフェースに、
203.0.113.127/27
が設定されていたなら、
アドレス
203.0.113.127
役割
ブロードキャストアドレス
です。
通常ホスト用アドレスとしては不適切です。
19. 「範囲内にある」だけでは不十分
たとえば、
203.0.113.96/27
のサブネット範囲は、
203.0.113.96
~
203.0.113.127
です。
そのため、
203.0.113.96
も、
203.0.113.127
もサブネットのアドレス範囲には含まれています。
しかし、
サブネットの範囲内
=
ホストとして利用可能
ではありません。
役割まで見る必要があります。
.96
→ ネットワーク
.97 ~ .126
→ 通常ホスト
.127
→ ブロードキャスト
です。
この区別はIPv4アドレス設定のトラブルシューティングで重要です。
20. 最初 / 最後の利用可能アドレスを求める流れ
通常サブネットなら、次の順序で整理できます。
IPv4アドレス / プレフィックス
↓
ネットワークアドレスを求める
↓
ブロードキャストアドレスを求める
↓
ネットワーク + 1
↓
最初の利用可能アドレス
↓
ブロードキャスト - 1
↓
最後の利用可能アドレス
例:
192.0.2.140/28
について考えます。
/28は、
255.255.255.240
です。
第4 オクテット:
140
=
10001100
240
=
11110000
AND:
10001100
11110000
--------
10000000
10000000
=
128
したがって、
ネットワーク
192.0.2.128
です。
ホストビットは4 ビットなので、それをすべて1にすると、
10001111
=
143
です。
したがって、
ブロードキャスト
192.0.2.143
です。
よって、
最初の利用可能アドレス
192.0.2.129
最後の利用可能アドレス
192.0.2.142
です。
21. 第3 オクテットで境界がある場合も原理は同じ
次は、
198.51.100.10/21
を考えます。
Page011で、
/21
=
255.255.248.0
と確認しました。
第3 オクテットについて、
100
=
01100100
248
=
11111000
です。
ANDすると、
01100100
11111000
--------
01100000
です。
01100000
=
96
第4 オクテットはマスクが0なのでネットワークアドレスでは0になります。
したがって、
ネットワークアドレス
198.51.96.0
です。
22. /21のブロードキャストアドレス
先ほどの、
198.51.100.10/21
では、
ネットワークアドレス
198.51.96.0
でした。
/21では、
ネットワークビット
21
ホストビット
11
です。
ネットワークアドレスのホストビットをすべて1にすると、
ブロードキャストアドレス
198.51.103.255
となります。
したがって通常のホスト範囲は、
198.51.96.1
~
198.51.103.254
です。
ここで重要なのは、
サブネット境界が必ず最後のオクテットだけで変化するわけではない
ことです。
23. 2進ANDは基礎となる確実な方法
ネットワークアドレス計算には複数の解き方があります。
たとえば今後、
増分
ブロックサイズ
を使った高速なサブネット分割も扱います。
しかしPage012ではまず、
アドレス
AND
マスク
=
ネットワークアドレス
という原理を理解します。
なぜなら2進ANDなら、
/27
/21
/18
など、どのプレフィックスでも同じ原理でネットワークアドレスを求められるからです。
計算簡易手順を忘れても、
マスク
↓
2進数
↓
AND
へ戻れば判断できます。
24. ブロードキャストはホストビットをすべて1にする
ブロードキャストアドレスも同様に、原理で考えることができます。
ネットワークアドレスが分かったら、
ネットワークビット
→ そのまま
ホストビット
→ すべて1
にします。
例:
ネットワーク
192.0.2.128/28
2進数の最後のオクテット:
ネットワーク
10000000
マスク
11110000
ホスト部分は後ろ4 ビットです。
これをすべて1にすると、
10001111
です。
10進数では、
143
なので、
ブロードキャスト
192.0.2.143
です。
25. ネットワークアドレスとブロードキャストアドレスはプレフィックス依存
同じIPv4アドレスでもプレフィックスが違えば、ネットワークアドレスやブロードキャストアドレスが変わることがあります。
例:
192.0.2.77/24
では、
ネットワーク
192.0.2.0
ブロードキャスト
192.0.2.255
です。
一方、
192.0.2.77/26
では、
ネットワーク
192.0.2.64
ブロードキャスト
192.0.2.127
です。
IPv4アドレス部分は同じ、
192.0.2.77
ですが、プレフィックスが異なることで所属サブネットの範囲が変わります。
したがって、
IPv4アドレスだけ
を見てネットワーク / ブロードキャストを判断することはできません。
必ず、
IPv4アドレス
+
プレフィックス / サブネットマスク
を組み合わせて判断します。
26. Page011のマスク不一致とつながる
Page011では、
192.0.2.77/24
と、
192.0.2.77/26
ではネットワークビット / ホストビットの境界が違うと学びました。
Page012では、その結果が具体的に分かります。
/24
ネットワーク
192.0.2.0
ブロードキャスト
192.0.2.255
/26
ネットワーク
192.0.2.64
ブロードキャスト
192.0.2.127
つまりマスク不一致によって、
同じIPv4アドレスでも「自分が属しているサブネット」の認識自体が変わる
可能性があります。
これが、サブネットマスク誤設定が通信へ影響する理由の基礎です。
27. ローカル / リモート判断につながる
IP機器は、自身のアドレスとサブネットマスクを利用して、自分のローカルサブネットを判断します。
たとえば、
192.0.2.77/26
なら、
ローカルサブネット
192.0.2.64/26
と判断できます。
通常のアドレス範囲は、
192.0.2.64
~
192.0.2.127
です。
このネットワーク情報を使って、
宛先はローカルか
リモートか
という判断につながります。
ただしPage012ではルーティング処理やデフォルトゲートウェイ動作を深掘りしません。
ここで重要なのは、
ネットワークアドレスを正しく求めることがローカルサブネット判断の基礎になる
という点です。
28. 例 1:通常のホストアドレスを判定する
次の設定を考えます。
IPv4アドレス
192.0.2.77
プレフィックス
/26
ネットワークアドレスを求めると、
192.0.2.64
です。
ブロードキャストアドレスは、
192.0.2.127
です。
利用可能ホスト範囲は、
192.0.2.65
~
192.0.2.126
です。
提示された、
192.0.2.77
はこのホスト範囲内にあります。
したがって、
192.0.2.77
→ 通常ホストとして使用可能なアドレス
と判断できます。
29. 例 2:ネットワークアドレスを判定する
次の設定です。
IPv4アドレス
198.51.100.32
プレフィックス
/27
ネットワークアドレスを計算すると、
198.51.100.32
です。
つまり、
設定済みアドレス
=
ネットワークアドレス
です。
通常のホストインターフェースへこのアドレスが設定されているのであれば、
ネットワークアドレスをホストへ設定している
という誤設定候補になります。
30. 例 3:ブロードキャストアドレスを判定する
次のアドレスを考えます。
198.51.100.63/27
このサブネットは、
ネットワーク
198.51.100.32
ブロードキャスト
198.51.100.63
です。
したがって、
198.51.100.63
はブロードキャストアドレスです。
通常ホストインターフェースへの設定であれば、不適切なアドレスです。
31. 例 4:最初 / 最後の利用可能アドレスを判断する
次を考えます。
192.0.2.128/28
ネットワークアドレス:
192.0.2.128
ブロードキャストアドレス:
192.0.2.143
したがって、
最初の利用可能アドレス
192.0.2.129
最後の利用可能アドレス
192.0.2.142
です。
よって、
192.0.2.129
と、
192.0.2.142
は通常ホストとして利用可能ですが、
192.0.2.128
192.0.2.143
は通常ホスト用アドレスではありません。
32. 例 5:第3 オクテットまで変化するサブネット
次のアドレスを考えます。
198.51.100.10/21
ネットワークアドレス:
198.51.96.0
ブロードキャストアドレス:
198.51.103.255
利用可能ホスト範囲:
198.51.96.1
~
198.51.103.254
です。
提示された、
198.51.100.10
はホスト範囲内なので、通常ホストとして利用可能なアドレスです。
この例から、
ネットワーク / ブロードキャストは
必ず最後のオクテットだけを変えればよい
わけではないことが分かります。
プレフィックスがどこに境界を持つかを見る必要があります。
33. /31は通常のネットワーク / ブロードキャストモデルの例外
ここまでの通常サブネットでは、
ホストビットすべて0
→ ネットワークアドレス
ホストビットすべて1
→ ブロードキャストアドレス
として、それらを通常ホスト用アドレスから除外しました。
しかし、
/31
には重要な例外があります。
/31では、
ホストビット
1 ビット
です。
たとえば、
192.0.2.0/31
には、
192.0.2.0
192.0.2.1
の2アドレスしかありません。
ポイントツーポイントリンクでは、RFC 3021に基づいて、この2つを両エンドポイントのアドレスとして利用できます。
つまり、
/31だから
ネットワークとブロードキャストを除外して
利用可能ホストは0
とは考えません。
Cisco IOSでも /31 をポイントツーポイント用途で利用できます。
34. /31では両アドレスを利用できる
例:
192.0.2.0/31
では、
192.0.2.0
192.0.2.1
の両方をポイントツーポイントリンクのエンドポイントへ割り当てることができます。
通常サブネットの考え方を機械的に適用して、
.0
→ ネットワークだから使えない
.1
→ ブロードキャストだから使えない
としてはいけません。
/31についてPage012で必要なのは、
通常のネットワーク / ブロードキャスト除外ルールには例外がある
と判断できることです。
収容アドレス数としての詳しい整理はPage013で扱います。
35. /32は単一アドレスを表す
/32では、
ネットワークビット
32
ホストビット
0
です。
つまりプレフィックスが、
1つのIPv4アドレスだけ
を表します。
例:
192.0.2.10/32
なら、
192.0.2.10
という単一アドレスです。
Ciscoルーターでは、ループバックインターフェースなどで /32 を使用する例があります。
/32に対して、
ネットワークアドレスを除く
ブロードキャストアドレスを除く
という通常サブネット用のホスト範囲計算を機械的に適用してはいけません。
36. /31と/32で誤りやすい考え方
次の暗記は危険です。
IPv4サブネットなら
必ず最初と最後の2アドレスを除外する
通常の複数アドレスサブネットでは有効な考え方ですが、
/31
/32
まで無条件に適用すると誤ります。
整理すると、
通常サブネット
ネットワーク / ブロードキャストを区別する
/31ポイントツーポイント
2アドレスをエンドポイントとして利用可能
/32
単一IPv4アドレスを表す
です。
Page013では、これをアドレス数・ホスト収容数という観点からさらに整理します。
37. アドレス種別を判断するときの順序
提示されたIPv4アドレスの役割を確認するときは、次の順序で考えます。
IPv4アドレス / プレフィックスを確認
↓
マスクを確認
↓
アドレス AND マスク
↓
ネットワークアドレス
↓
ホストビットをすべて1
↓
ブロードキャストアドレス
↓
通常サブネットなら
ネットワーク + 1
ブロードキャスト - 1
↓
利用可能ホスト範囲
↓
提示されたアドレスと比較
↓
ネットワーク
ブロードキャスト
ホスト
のどれか判断
ただし、
/31
/32
なら通常モデルをそのまま適用しないことも確認します。
38. トラブルシューティングで重要なのは分類すること
たとえば設定に、
ip address 203.0.113.127 255.255.255.224
とあったとします。
Page011までなら、
255.255.255.224
=
/27
と判断できます。
Page012ではさらに、
203.0.113.127/27
が属するサブネットを求めます。
結果、
ネットワーク
203.0.113.96
ブロードキャスト
203.0.113.127
なので、
設定済みアドレス
=
ブロードキャストアドレス
と判定できます。
つまり、
値が設定されている
だけではなく、
その値がサブネット内で適切な役割のアドレスなのか
まで確認するのがPage012です。
39. 「計算結果」と「原因断定」を分ける
次の設定を見つけたとします。
ホストインターフェース
203.0.113.127/27
計算結果として、
203.0.113.127
=
ブロードキャストアドレス
であることは判断できます。
しかしトラブルシューティングでは、
この誤設定だけが
現在のすべての障害を説明する
と直ちに断定する必要はありません。
Page012で得られる証拠は、
通常ホストインターフェースに
ブロードキャストアドレスが設定されている
という明確な設定異常です。
その後、必要に応じて他の確認情報と組み合わせます。
これはPage006で扱った、
事実
↓
仮説
↓
根本原因
という診断の考え方と同じです。
40. Page012で扱わないこと
Page012では、次の内容を主題にしません。
プレフィックス ↔ マスク変換の再講義
ホスト収容数の公式
2^ホストビット - 2の詳細
必要ホスト数からプレフィックスを選ぶ
借用ビット
サブネット数
増分を使ったサブネット分割
VLSM
パブリック / プライベートIPv4
DHCPによる割り当て
IPv4総合トラブルシューティング
ip directed-broadcast
ルーティングテーブル
最長プレフィックス一致
Page012の責任は、
1つのIPv4アドレス / プレフィックス
↓
1つのサブネットを求める
↓
ネットワーク / ブロードキャスト / ホスト範囲
↓
アドレスの役割を判定する
ところまでです。
41. Page012で判断できること
Page012までの知識があれば、次を判断できます。
判断1
192.0.2.77/26
→ ネットワークアドレスは 192.0.2.64
判断2
192.0.2.64/26
→ ブロードキャストアドレスは 192.0.2.127
判断3
192.0.2.64/26
→ 利用可能ホスト範囲は 192.0.2.65 ~ 192.0.2.126
判断4
198.51.100.32/27
→ ネットワークアドレス
判断5
198.51.100.63/27
→ ブロードキャストアドレス
判断6
198.51.100.45/27
→ 通常ホストとして利用可能
判断7
192.0.2.0/31
→ 通常サブネットのネットワーク / ブロードキャスト除外ルールを機械適用しない
判断8
192.0.2.10/32
→ 単一IPv4アドレスを表すプレフィックス
この判断ができれば、IPv4アドレス設定の誤りをかなり具体的に切り分けられるようになります。
42. Page010〜012をつなげる
ここまでの流れを整理します。
Page010
インターフェースに
何のアドレス / マスクが設定されているか
を取得しました。
Page011
そのマスク / プレフィックスが何ビットなのか
ネットワーク / ホスト境界はどこか
を解釈しました。
Page012
そのアドレスが属するサブネットはどこか
ネットワーク / ブロードキャスト / ホストのどれか
を判断します。
つまり、
設定値を取得
↓
マスクを解釈
↓
サブネット内の役割を判定
までつながりました。
まとめ
通常のIPv4サブネットでは、
ホストビットがすべて0
→ ネットワークアドレス
ホストビットがすべて1
→ ブロードキャストアドレス
です。
ネットワークアドレスを求める基本原理は、
IPv4アドレス
AND
サブネットマスク
=
ネットワークアドレス
です。
ネットワークアドレスが分かったら、ホストビットをすべて1にすることでブロードキャストアドレスを求められます。
通常のサブネットでは、
ネットワークアドレス + 1
→ 最初の利用可能アドレス
ブロードキャストアドレス - 1
→ 最後の利用可能アドレス
となります。
そのため、
IPv4アドレス / プレフィックス
↓
ネットワークアドレス
↓
ブロードキャストアドレス
↓
利用可能ホスト範囲
↓
アドレス種別
という順番で判断できます。
ただし、
/31
ではポイントツーポイントリンクで2つのアドレスをエンドポイントとして利用でき、
/32
は単一IPv4アドレスを表します。
そのため、
すべてのサブネットで
最初と最後の2アドレスを必ず除外する
と覚えてはいけません。
Page012では、
1つのIPv4アドレスとプレフィックスから、そのサブネットのネットワーク / ブロードキャスト / ホスト範囲を求め、提示されたアドレスの役割を判断する
ところまでを確実にします。
次のPage013では、
プレフィックス長
↓
アドレス総数
↓
利用可能ホスト数
↓
必要ホスト数を収容できるか
というサブネット収容数へ進みます。
理解確認
このページの内容を13問で確認します。
理解確認13問へ →