AWS / SAP-C02

セクション 05 · タスク 1.5 · SAP-C02-038

Cost Explorer / Budgets / Pricing Calculator

AWS Cost Explorer / AWS Budgets / AWS Pricing Calculator / 過去コスト / 予測 / コストアラート

このページのゴール

コスト管理では、分析・しきい値監視・事前見積りを同じツールで解こうとしません。要件の時間軸と目的からツールを選びます。

過去コスト / 使用量を分析
        ↓
AWS Cost Explorer

実際の / 予測をしきい値と比較
        ↓
AWS Budgets

デプロイ前・変更前のコストを試算
        ↓
AWS Pricing Calculator

分析 / アラート / 見積りの責任を分け、必要に応じてツールを連携できることをゴールにします。

1. 3つのツールを時間軸と目的で分ける

ツール主な時間軸主な目的
AWS Cost Explorer過去〜現在〜予測コスト / 使用量分析、推移、予測
AWS Budgets現在〜予測しきい値監視、アラート、必要に応じたアクション
AWS Pricing Calculator計画・将来デプロイ前・変更前のコスト見積り
分析  → AWS Cost Explorer
アラート    → AWS Budgets
見積り → AWS Pricing Calculator

2. AWS Cost Explorerは過去コスト / 使用量を分析する

AWS Cost Explorerは、発生したコスト / 使用量を可視化し、どこでコストが発生しているかを分析するツールです。

例えば「先月よりコストが増えた」という事実から、サービス、リンク済みアカウント、リージョン、使用量タイプなどの観点で原因を絞り込みます。

コスト増加
↓
AWS Cost Explorer
↓
フィルター / グループ化
↓
コスト要因を特定

単に合計コストを見るのではなく、過去コスト / 使用量から原因を調査することが中心です。

3. フィルターとグループ化を使い分ける

フィルターは調査対象を絞り、グループ化は絞った対象を観点別に比較します。

例えば「本番アカウントだけを対象にサービス別コストを比較」するなら、本番アカウントでフィルターし、サービスでグループ化します。

フィルター
→ 調査対象を限定

グループ化
→ 観点別に比較

試験ではコンソール操作手順より、どの観点でコストドライバーを切り分けるかを判断します。

4. AWS Cost Explorer 予測は既存利用の推移を見る

AWS Cost Explorerは過去コスト / 使用量を基に将来コストを予測できます。

過去コスト / 使用量
↓
現在 推移
↓
AWS Cost Explorer 予測

「現在利用している環境が、この推移なら月末・将来どの程度になる可能性があるか」を見る用途です。予測は予測であり、確定請求額ではありません。

5. AWS Cost Explorerはリアルタイム運用監視ではない

AWS Cost Explorerのコストデータはリアルタイムテレメトリではありません。当月のデータは通常およそ24時間で利用でき、コストデータは少なくとも24時間ごとに更新されますが、上流請求データによってさらに遅れる場合があります。

秒・分単位の運用上のメトリクス
→ 運用上の監視 ツール

請求 / コスト / 使用量 分析
→ AWS Cost Explorer

したがって、「数分以内にコスト変化を検知する」といった要件にAWS Cost Explorerをリアルタイム監視ツールとして選びません。

6. AWS Budgetsはしきい値を監視する

AWS Budgetsはコスト / 使用量などに予算値を設定し、実際のまたは予測がしきい値へ到達したときに検知するために利用します。

予算しきい値
      ↑
実際の / 予測
      │
      ▼
アラート / アクション

深いコストドライバー分析ではなく、管理対象へ近づいた・超えそうというシグナルを出す役割です。

7. 実際のアラートと予測ベースのアラート

アラート判断
実際のアラートすでに発生したコスト / 使用量がしきい値へ到達したか
予測ベースのアラート現在の予測が予算しきい値を超えそうか

例えば実際のコストが予算の80%へ到達したら通知したいなら実際のアラート、実際のは未超過でも月末予算超過が予測された時点で通知したいなら予測ベースのアラートを選びます。

8. 予測ベースの予算アラートには約5週間の使用量履歴が必要

AWS Budgetsが予測を生成するには、約5週間の使用量データが必要です。

新規アカウントや利用開始直後など過去使用量が不足している場合、予測ベースのアラートは十分な履歴が得られるまでトリガーされません。

過去使用量不足
↓
予測生成不可
↓
予測ベースのアラートもトリガーされない

過去データがないデプロイ前コストの計画には、AWS Pricing Calculatorを評価します。

9. 予算通知と予算アクション

予算しきい値到達時は通知を送り、必要に応じて予算アクションを設定できます。

予算アクションは、設定したしきい値に応じて自動実行または手動承認後に実行できます。代表的なアクションにはIAMポリシーやサービス制御ポリシー(SCP)の適用、対象となるAmazon EC2 / Amazon RDS インスタンスへのアクションがあります。

予算しきい値
↓
通知
↓
必要なら予算アクション
   ├─ 自動
   └─ 手動承認

ただし予算値そのものは請求額の厳格な上限ではありません。

10. Budgetsでシグナルを出し、AWS Cost Explorerで原因を調べる

AWS BudgetsとAWS Cost Explorerは競合するツールではありません。

AWS Budgets
↓
実際の / 予測しきい値アラート
↓
AWS Cost Explorer
↓
サービス / アカウント / 使用量を分析
↓
コスト要因を特定

Budgetsは「対応が必要か」を知らせ、AWS Cost Explorerは「何が原因か」を分析するという連携ができます。

11. パブリック AWS Pricing CalculatorはAWSアカウントなしで事前見積りする

パブリック AWS Pricing CalculatorはAWSアカウントがなくても利用でき、AWSサービス、設定、期待される使用量を入力して計画中のワークロードのコスト見積りを作ります。

計画中のアーキテクチャ
+
期待される使用量
↓
パブリック AWS Pricing Calculator
↓
コスト見積り

新規AWS導入、移行計画、PoC、アーキテクチャ比較など、デプロイ前の仮定分析に向きます。パブリック版はアカウント固有の既存使用量・割引・購入コミットメントを自動反映せず、公開料金を基準に仮定を入力して見積もります。

12. コンソール内 AWS Pricing Calculatorはアカウント固有コンテキストを使える

コンソール内AWS Pricing CalculatorはAWS Billing and Cost Management内で利用し、AWSアカウントが必要です。

既存使用量をインポートして将来の使用量変更をモデル化したり、割引率やSavings Plans / Reserved Instancesなどの購入コミットメントを含めてコスト影響を評価できます。

既存使用量
+
割引 / 購入コミットメント
+
モデル化した変更
↓
コンソール内 AWS Pricing Calculator

「現在のAWS利用コンテキストを含めて新ワークロードやコミットメント変更の影響を見たい」という要件に適します。

13. AWS Cost Explorer 予測とAWS Pricing Calculatorを分ける

AWS Cost Explorer 予測AWS Pricing Calculator
主な入力過去コスト / 使用量想定アーキテクチャ / 使用量、必要に応じアカウント固有コンテキスト
対象既存利用の推移新規・変更アーキテクチャの仮定分析
目的現在の推移の延長を予測変更前にコスト影響を見積り

「既存本番がこのままなら将来いくらか」は予測、「別アーキテクチャへ変更したらいくらか」はAWS Pricing Calculatorを評価します。

14. AWS Pricing Calculatorの見積りは実際の請求額を保証しない

AWS Pricing Calculatorは入力した設定、期待される使用量、料金の前提などに基づく見積りです。実際の使用量やアーキテクチャ、料金条件が変われば実際のコストも変わります。

見積り
≠
保証された将来請求額

コストだけでアーキテクチャを決めず、パフォーマンス・可用性・運用要件も合わせて評価します。

15. 障害モード

AWS Cost Explorerをデプロイ前の新規アーキテクチャ見積りに使う

過去コスト / 使用量分析とアーキテクチャ計画を分けます。

AWS Cost Explorerをリアルタイム運用監視に使う

請求データには更新遅延があります。

Budgetsでコストドライバーの根本原因を分析しようとする

Budgetsでシグナルを検知し、AWS Cost Explorerで原因を分析します。

予測ベースのアラートを使用量履歴なしで即時利用できると思う

予測生成には約5週間の使用量履歴が必要です。

予算を厳格な支出上限だと思う

予算アクションを設定できても、予算値そのものは絶対的な請求上限ではありません。

パブリックとコンソール内 AWS Pricing Calculatorを同じコンテキストとして扱う

アカウント固有の既存使用量・割引・購入コミットメントを利用するならコンソール内版を評価します。

16. SAP-C02判断フロー

コスト要件
      │
      ▼
すでに発生したコスト / 使用量を分析?
 ┌────┴────┐
 │         │
はい      いいえ
 │         │
 ▼         │
AWS Cost Explorer   │
 │         │
 │     しきい値監視?
 │       ┌─┴─┐
 │      はい      いいえ
 │       │    │
 │       ▼    │
 │    Budgets │
 │            │
 │       デプロイ前 / 変更前の
 │       コスト見積り?
 │            │
 │            ▼
 │     AWS Pricing Calculator
 │
 ▼
アラートを受信して原因調査?
      │
      ▼
AWS Cost Explorer

既存利用推移の将来予測
→ AWS Cost Explorer 予測

アカウント固有の使用量 / 割引 /
コミットメントを含む仮定分析
→ コンソール内 AWS Pricing Calculator

17. まとめ

分析
→ AWS Cost Explorer

アラート / しきい値 管理
→ AWS Budgets

見積り / 仮定分析
→ AWS Pricing Calculator

AWS Cost Explorerは過去コスト / 使用量と予測を分析します。AWS Budgetsは実際の / 予測をしきい値と比較し、通知や必要に応じたアクションへつなげます。AWS Pricing Calculatorはデプロイ前・変更前のコストを見積りします。

要件の時間軸と目的からツールを選び、必要ならBudgets → AWS Cost Explorerのように連携することが重要です。

18. 主要AWS公式資料

  • AWS Certified Solutions Architect - Professional SAP-C02 — ドメイン 1 / タスク 1.5
  • AWS Cost Explorer — コストと使用量の分析
  • AWS Budgets — AWS Budgetsのベストプラクティス
  • AWS Budgets — 予算アクションの設定
  • AWS Pricing Calculator — ドキュメント
  • AWS コスト管理 — コンソール内AWS Pricing Calculator

理解確認

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