SAP-C02-140 · セクション 16 / タスク 3.5
Pricing Modelの利用状況を改善する
On-Demand / Reserved Instances / Savings Plans / Commitment / Coverage / Utilization
既存環境でReserved Instances(RI)やSavings Plansを利用している場合、次に確認するのは購入済みコミットメントを実際に使えているかと、現在の対象使用量をどこまでカバーできているかです。
このページでは、既存の料金モデルを、
既存RI / Savings Plans
+
現在使用量
↓
Utilization
+
Coverage
↓
既存料金モデルの
利用ギャップを診断という流れで評価します。
ゴール
既存のRIやSavings Plansについて、
購入済みコミットメントを
どれだけ使えているか
対象となる実使用量を
どれだけカバーできているかを分けて確認し、
追加コミットメントの評価候補
コミットメント過多の候補
既存条件と現在構成の不一致候補へ診断できるようにします。
前提
RI、Savings Plans、On-Demand、安定使用量、変動使用量、コミットメント期間といった料金モデルの一般的な選び方は既習とします。
ここで扱うのは、
将来の使用量から
新しい料金モデルを選ぶことではなく、
すでに存在する
RI / Savings Plansが
現在使用量に合っているかを診断することです。
1. 既存料金モデルは実績から診断する
既存のRIやSavings Plansがある場合、購入したという事実だけでは最適化できているとは判断できません。
確認するのは、
購入したコミットメント
↓
実際に使えているか
現在の対象使用量
↓
コミットメントで
カバーできているかです。
2. 診断軸はUtilizationとCoverage
既存コミットメントの利用状況は、
Utilization
+
Coverageの2つを組み合わせて確認します。
片方だけでは、
購入しすぎているのか
未カバー使用量が残っているのか
条件が現在構成と合っていないのかを区別できません。
3. Utilizationは購入側を見る
Utilizationは、購入済みコミットメントをどれだけ使えているかを見る指標です。
購入済みコミットメント
↓
実際に利用できた割合高ければ、既存コミットメントをよく使えています。
低ければ、購入済みコミットメントの一部を十分に使えていない可能性があります。
4. Coverageは使用量側を見る
Coverageは、対象となる実使用量のうち、どれだけコミットメントでカバーされたかを見る指標です。
対象となる実使用量
↓
コミットメントで
カバーされた割合Coverageが低ければ、対象使用量の一部がOn-Demandとして残っている可能性があります。
5. UtilizationとCoverageは同じ意味ではない
| 指標 | 見る側 | 確認すること |
|---|---|---|
| Utilization | 購入側 | 購入済みコミットメントをどれだけ使えたか |
| Coverage | 使用量側 | 対象実使用量をどれだけコミットメントでカバーできたか |
したがって、
Utilization
≠
Coverageです。
6. Savings Plans Utilizationで購入済みコミットメントを見る
Savings Plansでは、Utilizationから既存のコミットメントをどの程度利用できているか確認します。
例えば、
Utilization
99%なら、購入済みコミットメントはほぼ使い切っている状態です。
この値だけでは、現在の対象使用量全体が十分にカバーされているかまでは分かりません。
7. Savings Plans Coverageで実使用量を見る
Savings Plans Coverageでは、対象となる実使用量のうち、Savings Plansでカバーされた割合を確認します。
例えば、
Coverage
55%なら、対象使用量のすべてがSavings Plansでカバーされているわけではありません。
未カバー部分は、現在の料金適用状況を確認する対象になります。
8. RI Utilizationは購入済みRIをどれだけ利用できたかを見る
RI Utilizationでは、
購入済みRIを
どれだけ利用できたかを確認します。
ここで見るのは購入側です。
利用率が低ければ、購入済みRI時間の一部を十分に使えていない可能性があります。
9. RI Coverageは実使用量のうちRIでカバーされた割合を見る
RI Coverageでは、
実際の対象使用量のうち
どれだけRIで
カバーされたかを確認します。
ここで見るのは使用量側です。
RI UtilizationとRI Coverageを分けることで、購入済みRIの利用状況と、現在の対象使用量への適合状況を切り分けられます。
10. On-Demand使用量は未カバー部分を確認する材料になる
既存コミットメントがある環境でも、対象使用量の一部がOn-Demandとして残ることがあります。
ただし、
On-Demandがある
=
直ちに無駄ではありません。
未カバー使用量が、
継続的で安定しているか
一時的・変動的かを確認し、既存コミットメントとのギャップとして扱います。
11. 高Utilization + 低Coverage
この組み合わせは、
既存コミットメント
ほぼ使い切り
+
未カバー使用量ありという状態です。
既存コミットメントが余っているというより、現在使用量の一部がカバーされていない側を確認します。
12. 例:Savings Plans Utilization 99% / Coverage 55%
Savings Plans
Utilization 99%
Coverage 55%
未カバーOn-Demand使用量
安定この場合、
現在コミットメント
ほぼ使い切り
+
未カバーの安定使用量ありと診断できます。
13. 未カバー使用量が継続的なら追加コミットメントの評価候補
高Utilization + 低Coverageで、さらに未カバーOn-Demand使用量が継続的に安定しているなら、
追加コミットメントを
評価する候補になります。
ここでは購入を即決するのではなく、追加評価へ進める根拠があると判断します。
14. 低Utilization + 高Coverage
この組み合わせは、
対象使用量は
よくカバー
+
購入済みコミットメントが
余っている可能性を示します。
Coverageが高いだけで、購入済みコミットメントを十分に使えているとは限りません。
15. 例:Savings Plans Utilization 62% / Coverage 100%
Savings Plans
Utilization 62%
Coverage 100%この場合、対象使用量はよくカバーされています。
一方でUtilizationは低いため、
購入済みコミットメントが
余っていないかを確認します。
16. 低Utilization + 高Coverageはコミットメント過多候補
Coverage 100%だけを見て、
料金モデルの利用状況は
完全に最適とは判断しません。
Utilizationが低ければ、既存コミットメントの購入量と実際の利用状況の間に余りがないか確認します。
17. 低Utilization + 低Coverage
この組み合わせは、
既存コミットメントも
十分使えていない
+
現在使用量も
十分カバーできていない状態です。
単純に、
コミットメント不足とは判断しません。
18. 例:RI Utilization 45% / RI Coverage 40%
EC2 RI
RI Utilization 45%
RI Coverage 40%
既存RIに未使用時間あり
現在EC2使用量の多くは
On-Demandこの場合、追加購入を先に考えるのではなく、
既存RI条件
と
現在の使用構成が合っているか確認します。
19. 低Utilization + 低Coverageでは不一致を確認する
確認対象は例えば、
RI条件
リージョン
現在構成
ワークロード変更です。
既存コミットメントが残っているのに現在使用量へ十分適用されていないなら、まずその不一致を特定します。
20. Utilizationだけで追加・削減を決めない
Utilizationが高くても、Coverageが低ければ未カバー使用量が残っている可能性があります。
逆にUtilizationが低い場合も、Coverageとの組み合わせによって、
コミットメント過多
条件不一致のどちらを優先して確認するかが変わります。
21. Coverageだけで最適と判断しない
Coverageが高いことは、対象使用量がよくカバーされていることを示します。
しかし、購入済みコミットメントをどれだけ使えているかはUtilizationで別に確認します。
Coverageが高い
↓
対象使用量はカバー
Utilizationも確認
↓
購入側に余りがないか22. Savings Plansの診断フロー
既存Savings Plansあり
↓
Utilization確認
↓
Coverage確認
↓
未カバーOn-Demand使用量確認
↓
組み合わせて診断
├─ 高Utilization + 低Coverage
│ → 未カバー使用量を確認
│ → 安定なら追加評価候補
│
├─ 低Utilization + 高Coverage
│ → コミットメント余りを確認
│
└─ 低Utilization + 低Coverage
→ 条件 / 現在構成の不一致を確認23. RIの診断フロー
既存RIあり
↓
RI Utilization確認
↓
RI Coverage確認
↓
現在のOn-Demand使用量確認
↓
組み合わせて診断
├─ 購入済みRIをよく利用
│ + 未カバー使用量あり
│ → 未カバー使用量の継続性を確認
│
├─ 購入済みRIの利用が低い
│ + 使用量はよくカバー
│ → 余りを確認
│
└─ 購入済みRIの利用が低い
+ Coverageも低い
→ RI条件と現在構成の不一致を確認24. 3つの主要診断を比較する
| Utilization | Coverage | 主な診断 |
|---|---|---|
| 高い | 低い | 既存コミットメントはよく使えている。未カバー使用量を確認する |
| 低い | 高い | 対象使用量はよくカバーされている。コミットメントの余りを確認する |
| 低い | 低い | 既存条件と現在の使用構成の不一致を確認する |
25. 診断結果は既存料金モデルの利用ギャップとして整理する
このページで作る出力は、
現在コミットメントを
ほぼ使い切っている
+
未カバー安定使用量あり
→ 追加評価候補
対象使用量はカバー
+
コミットメント利用が低い
→ 過多候補
コミットメント利用もCoverageも低い
→ 条件 / 構成不一致候補という既存料金モデルの利用ギャップです。
26. SAP-C02での判断フロー
既存RI / Savings Plansあり
↓
Utilization確認
↓
購入済みコミットメントを
どれだけ使えている?
↓
Coverage確認
↓
現在使用量を
どれだけカバーしている?
↓
On-Demandを含む
未カバー使用量確認
↓
組み合わせて診断
├─ 追加コミットメント評価候補
├─ コミットメント過多候補
└─ 条件 / 現在構成の不一致候補
↓
後続のコスト改善判断へ27. このページで扱わないこと
ここでは、
新しいRI / Savings Plansの
一般的な選び方
コミットメント期間の選択
購入方式の比較
EC2 RIのNormalized Units詳細
RI使用率レポートの
補助的な明細仕様
Spot Instances
Auto Scaling
適正サイジングの具体策
ネットワーク / データ転送コスト改善
最終的な購入操作は扱いません。
このページで完成させるのは、
既存コミットメント
+
現在使用量
↓
Utilization
+
Coverage
↓
利用ギャップを診断するところまでです。
まとめ
既存のRIやSavings Plansを評価するときは、UtilizationとCoverageを同じ意味として扱いません。
Utilization
→ 購入済みコミットメントを
どれだけ使えているか
Coverage
→ 対象となる実使用量を
どれだけコミットメントで
カバーできているかこの2つを組み合わせると、
高Utilization + 低Coverage
→ 既存コミットメントはほぼ使い切り
→ 未カバー使用量が安定なら追加評価候補
低Utilization + 高Coverage
→ 対象使用量はよくカバー
→ コミットメント過多候補
低Utilization + 低Coverage
→ 単純な不足とは判断しない
→ RI条件 / リージョン / 現在構成 /
ワークロード変更などの不一致を確認On-Demand使用量も、存在するだけで無駄とは判断せず、未カバー使用量の継続性と既存コミットメントの利用状況を合わせて確認します。
主要AWS公式資料
- AWS Certified Solutions Architect - Professional(SAP-C02)試験ガイド — タスク 3.5
- AWS Billing and Cost Management — Savings Plans utilization report
- AWS Billing and Cost Management — Savings Plans coverage report
- AWS Billing and Cost Management — Reservation utilization report
- AWS Billing and Cost Management — Reservation coverage report
理解確認
このページの内容を3問で確認します。
理解確認3問へ →