SAP-C02-150 · セクション 17 / タスク 4.1
TCOとBusiness Caseの評価
Total Cost of Ownership / Current Cost / Migration Cost / Operational Cost / Licensing / AWS License Manager / Business Benefit / TCO Comparison
Migration Candidateと移行方針を整理した後は、現在環境を維持する場合とAWSへ移行した後で、コスト構造がどのように変わるかを比較します。
現在環境
↓
Current Cost
vs
移行後環境
↓
Operational Cost
+
Licensing
+
必要なら残存オンプレミスCost
↓
TCO Comparison
さらに、実際に移行を実行するためのMigration Costと、移行によって得られるBusiness Benefitを加えることで、複数年のBusiness Caseを評価します。
ゴール
このページでは、次の区別を一続きで判断できることがゴールです。
Current Cost
→ 現在環境を運用し続ける定常コスト
Operational Cost
→ 移行後環境を運用し続ける定常コスト
TCO Comparison
→ 現在 / 移行後の定常コスト比較
Migration Cost
→ 移行を実行するために発生する一時的・移行期間中のコスト
Business Benefit
→ 直接的なコスト削減だけではない事業上の効果
Detailed Business Case
→ TCO Comparison
+ Migration Cost
+ Business Benefit
+ 複数年評価
1. Total Cost of Ownershipは定常コストを比較する
Total Cost of Ownership(TCO)を評価するときは、単純なAWS利用料金だけを見ません。現在環境を維持するためのコストと、移行後環境を維持するためのコストを同じ粒度で比較します。
現在環境では、例えば次のようなコストがあります。
- データセンターや設備などのPhysical Infrastructure
- サーバー、ストレージ、ネットワークなどのインフラストラクチャ
- Software SupportやLicensing
- Network Service
- 運用、監視、保守、サポート
これらをCurrent Costとして整理します。
2. 移行後のOperational Costを同じ粒度で見る
移行後は、AWS側で継続的に発生するコンピューティング、ストレージ、ネットワーク、マネージドサービスなどの利用料金に加え、運用やサポート、Software Licenseなども考慮します。
重要なのは、
AWSへ移行した
=
オンプレミスCostがすべてゼロになる
とは限らないことです。
一部のワークロードをRetainする場合や、共有ネットワーク、データセンター設備、共通運用基盤を継続する場合は、その残存コストも移行後のTCOへ含めます。
3. TCO Comparisonは「現在」と「移行後」のRun Rateを比べる
TCO Comparisonでは、現在環境のCurrent Costと、移行後環境のOperational Costを比較します。
Current Environment Run Rate
vs
Future Operating Model Run Rate
この比較によって、定常的なコスト構造がどのように変わるかを把握できます。
ただし、TCO Comparisonだけでは移行プロジェクト全体のBusiness Caseは完成しません。
4. Migration Costは定常コストと分離する
Migration Costは、移行後に毎年発生する定常コストとは別に評価します。
例えば、次のような項目です。
- 移行作業そのものの人件費や外部支援
- Migration Toolの利用
- Training
- 移行期間中の並行稼働
- 旧環境の廃止
移行戦略によって必要な作業量は異なるため、選択した7RsはMigration Costへ影響します。ただし、Migration Costだけを見て移行戦略を決定するわけではありません。
5. LicensingはLicense IncludedとBYOLを分けて考える
ソフトウェアをAWS上で利用するときは、License IncludedとBYOLでコスト構造が異なる場合があります。
License Included
→ AWS Resource料金などにSoftware Licenseの費用を含む形
BYOL
→ 既存LicenseをAWS上で利用する形
BYOLを検討するときは、保有しているLicense数だけではなく、Vendor Agreement、License Metric、License Mobilityなどの契約条件を確認します。
6. AWS License ManagerはLicense Inventory / Usage / Complianceを管理する
AWS License Managerでは、Self-managed Licenseを定義し、License Inventory、利用状況、Complianceを管理できます。
Systems Manager Inventoryと連携して、対象となるオンプレミス側のリソースを追跡することもできます。また、License IncludedとBYOLの識別にも利用できます。
ただし、AWS License ManagerはVendorとの契約上、BYOLが許可されているかを決定するサービスではありません。
BYOL可否
→ Vendor契約条件を確認
AWS License Manager
→ Inventory / Usage / Complianceを管理
また、AWS License ManagerがTCOやBusiness Caseを自動計算するわけでもありません。
7. Business Benefitは直接的なCost Savingだけではない
Business Caseでは、単純なインフラストラクチャ費用の削減だけでなく、移行によって得られる事業上の効果も評価します。
例えば、
- 手作業や運用負荷を減らし、削減した作業時間を高価値業務へ再配分できる
- Resilienceの改善によって停止の影響を減らせる
- ビジネス俊敏性を改善し、新しい機能やサービスをより早く提供できる
といった効果です。
Business Benefitは、AWS料金が安くなるという直接的なCost Savingとは分けて整理します。
8. Detailed Business Caseでは複数年で評価する
詳細なBusiness Caseでは、TCO ComparisonだけでなくMigration CostとBusiness Benefitを組み合わせ、複数年のキャッシュフローで評価します。
TCO Comparison
+
Migration Cost
+
Business Benefit
↓
複数年のキャッシュフロー
↓
Detailed Business Case
必要に応じてROI、Payback Periodなども利用し、移行投資と効果を比較します。
9. TCOが低いだけでMigration確定ではない
TCOは重要な判断材料ですが、最終的なMigration Decisionの唯一の要因ではありません。
依存関係、技術要件、Business Requirement、移行リスク、実行可能性なども後続の判断に残ります。
このページでは、
現在 / 移行後の定常コスト比較
+
Migration Cost
+
Business Benefit
↓
Business Caseを評価する
ところまでを扱います。