Cisco / CCNA 200-301 v2.0

試験項目 1.1 · CCNA-001

Copper / FiberとCable Type

Copper Cable, Fiber Cable, UTP / STP, Multimode Fiber, Single-mode Fiber, EMI, Cable Type Compatibility

このページのゴール

使用されているCopper / FiberとCable Typeの特性を識別し、そのMediaまたはCable TypeがInterface/Cable Issueの原因候補となるか診断する。

このページで学ぶこと

  • Copper Cable
  • Fiber Cable
  • UTP / STP
  • Multimode Fiber
  • Single-mode Fiber
  • EMI
  • Cable Type Compatibility

ネットワークの物理障害を調査するとき、最初に確認したい情報の1つが、どの伝送媒体(Media)を使用しているかです。

Ethernetの物理的な伝送媒体は、大きく次の2つに分けて考えられます。

  • 銅線(Copper):電気信号を使用する
  • 光ファイバ(Fiber):光信号を使用する

銅線と光ファイバでは信号の伝送方法が異なるため、障害発生時に疑うべき原因も異なります。

このページの目的は、ケーブル規格を大量に暗記することではありません。

既設のリンクについて、

使用している伝送媒体とケーブル種別を識別し、その特性が発生している症状の原因候補として成立するか判断できること

を目標にします。

1. 銅線と光ファイバの基本的な違い

まず、診断に必要な違いを整理します。

観点銅線(Copper)光ファイバ(Fiber)
伝送方式電気信号光信号
代表例UTP / シールド付きツイストペアマルチモード / シングルモード
電磁環境影響を受ける可能性がある光ファイバ伝送路自体は電磁誘導の影響を受けない
主な確認項目ケーブル種別、配線経路、周辺環境光ファイバ種別、トランシーバー仕様との整合
診断時の考え方EMIなどが症状と整合するか使用している光ファイバが光トランシーバーの対応条件を満たすか

重要なのは、

光ファイバの方が常に優れている

と覚えることではありません。

トラブルシューティングでは、

症状
+
使用している伝送媒体
+
周辺環境
+
接続条件

を組み合わせて原因候補を絞ります。

2. 銅線ケーブル

銅線を使用するEthernetでは、銅線導体上の電気信号としてデータを伝送します。

一般的なLANで使用されるツイストペアケーブルも銅線ケーブルです。

ツイストペアでは、導体をペア単位でより合わせることでノイズの影響を抑える構造になっています。

ただし、銅線は電気信号を使用するため、環境によっては外部の電磁的な影響を受ける可能性があります。

たとえば、

スイッチ
  │
  │ 銅線ケーブル
  │
  └──────── PC

ケーブル経路の近くに
大型モーターや高電力設備

という構成で、そのリンクだけが断続的に不安定なら、

使用している伝送媒体と周辺環境の組み合わせ

は確認対象になります。

ただし、

銅線リンクが不安定
      ↓
原因はEMI

と即断してはいけません。

銅線を使用していることは、EMIを原因候補に加える根拠になります。

根本原因を確定するには、追加の確認が必要です。

3. UTP

UTP(Unshielded Twisted Pair) は、シールドを持たないツイストペアケーブルです。

一般的なEthernet LANで広く使用されています。

UTPは導体ペアをより合わせることでノイズの影響を抑えますが、シールド付きケーブルのような追加のシールドを持ちません。

そのため、

UTP
+
強い電磁ノイズ源
+
その経路のリンクだけ不安定

という状況では、ケーブル経路や周辺環境を確認する価値があります。

重要なのは、

UTPを使用しているだけで障害と判断しない

ことです。

正常な環境で適切に施工されたUTPは、一般的なEthernetの伝送媒体です。

障害診断では、

UTPを使用している

という情報単独ではなく、

UTPを使用している
+
ノイズ源がある
+
症状がその経路に集中している

といった複数の確認情報を組み合わせます。

4. シールド付きツイストペア(STP)

シールド付きツイストペア(STP: Shielded Twisted-Pair) では、導体ペアやケーブルの周囲にシールドを設けることで、外部からの電磁的な影響を低減します。

シールドの具体的な構造には複数の方式があります。

ここでは個々のシールド構造を細かく分類する必要はありません。

押さえるべき違いは次のとおりです。

ケーブルシールド主な目的
UTPなし一般的なEthernet配線
STP(シールド付きツイストペア)あり外来ノイズの影響を低減する

ここで注意したいのが、

シールドは速度(Speed)やデュプレックス(Duplex)を補正する機能ではない

ということです。

たとえば、

Duplex Mismatch
      ↓
シールド付きケーブルへ交換する

という対応は成立しません。

速度やデュプレックスは別の確認項目です。

一方、

強い電磁ノイズ環境
      ↓
銅線ケーブルを使用
      ↓
ケーブル種別と配線経路を確認

という診断は妥当です。

5. EMI

EMI(Electromagnetic Interference:電磁干渉) は、外部からの電磁的な影響によって通信信号が乱される現象です。

銅線は電気信号を使用するため、EMIは物理障害を調査するときの原因候補になります。

たとえば、次のような環境です。

  • 大型モーター
  • 高電力設備
  • 強い電磁場を発生させる装置
  • 電力ケーブルとの不適切な配線経路

ただし、EMIはケーブル種別だけから断定するものではありません。

次のケースを考えます。

リンクA
銅線
大型モーター付近を通過
不安定

リンクB
銅線
別経路
正常

この場合、

リンクAのケーブル経路

は有力な確認対象になります。

一方、

リンクA
光ファイバ
大型モーター付近を通過
不安定

という情報だけなら、銅線と同じ考え方で、

「ケーブル内の信号がEMIを受けた」

とは判断しません。

光ファイバでは別の原因候補を確認します。

6. 光ファイバケーブル

光ファイバでは、光ファイバ内部を進む光信号としてデータを伝送します。

銅線とは信号方式そのものが異なります。

光ファイバ伝送路は電気信号でデータを送るものではないため、銅線ケーブルと同じ電磁誘導によるEMIの影響を受けません。

そのため、光ファイバリンクを調査するときは、

大型モーターが近い
      ↓
EMIが光ファイバ内の光信号を乱した

という、銅線と同じ仮説を優先しません。

代わりにここでは、

光ファイバ種別とトランシーバー(Transceiver)の対応条件

を確認します。

光ファイバには大きく、

  • マルチモードファイバ(Multimode Fiber:MMF)
  • シングルモードファイバ(Single-mode Fiber:SMF)

があります。

7. マルチモードファイバとシングルモードファイバ

マルチモードファイバ

マルチモードファイバ(Multimode Fiber:MMF) は、複数の伝搬モードを利用する光ファイバです。

シングルモードファイバ

シングルモードファイバ(Single-mode Fiber:SMF) は、基本的に単一の伝搬モードを利用する光ファイバです。

ここでは光学理論を深掘りする必要はありません。

重要なのは、

現在使用しているトランシーバーが、実際の光ファイバ種別に対応しているか確認すること

です。

観点マルチモードファイバシングルモードファイバ
略称MMFSMF
伝搬モード複数基本的に単一
診断時の確認トランシーバー仕様でMMF対応を確認トランシーバー仕様でSMF対応を確認
確認の目的伝送媒体の適合性確認伝送媒体の適合性確認

ここで、

マルチモード用光トランシーバー
= MMFだけを使用できる

シングルモード用光トランシーバー
= SMFだけを使用できる

と名称だけで判断しないことが重要です。

トランシーバーによっては、複数の光ファイバ種別をサポートする製品もあります。

したがって実際の確認手順は、

トランシーバーの型番・仕様を確認
            ↓
対応する光ファイバ種別を確認
            ↓
実際の光ファイバ種別を確認
            ↓
対応条件を満たしているか照合

です。

8. ケーブル種別の適合性

物理的にコネクタへ接続できるからといって、その組み合わせが通信仕様上正しいとは限りません。

障害調査では、

実際のケーブル種別

と、

インターフェース / トランシーバーが
対応している伝送媒体

を照合します。

たとえば、あるトランシーバーの仕様が、

対応する光ファイバ:
MMFのみ

となっているにもかかわらず、

実際の配線:
SMF

であれば、

伝送媒体の適合性に不整合

があります。

反対に、

トランシーバー仕様
MMF対応

実際のケーブル
MMF

なら、

少なくとも光ファイバ種別という観点では条件が一致しています。

この場合は、他の原因候補へ調査を進めます。

9. 症状から伝送媒体を診断する

ここまでの内容を実際のトラブルシューティングとして整理します。

ケース1:銅線リンクだけが不安定

スイッチ
  │
  │ UTP
  │
サーバー

ケーブル経路の近くに大型モーター
別経路のリンクは正常

この場合、

ケーブル種別と配線経路

を確認します。

銅線は電気信号を使用するため、EMIとの関連を原因候補として考えられます。

ただし、この時点ではまだEMIを根本原因とは断定しません。

ケース2:トランシーバー仕様と光ファイバ種別が一致しない

トランシーバー仕様
→ MMFのみ対応

実際のケーブル
→ SMF

この場合、

トランシーバーと光ファイバ種別の不整合

が確認できます。

伝送媒体の不適合が障害原因になっている可能性を調査します。

ケース3:光ファイバリンクの近くに大型モーターがある

スイッチ
  │
  │ 光ファイバ
  │
ルーター

近くに大型モーター

この情報だけから、

光ファイバ内の光信号が
EMIで乱された

とは判断しません。

光ファイバ伝送路そのものは、銅線ケーブルと同じ電磁誘導による影響を受けないためです。

別の物理要因を調査します。

10. 原因候補と根本原因を区別する

トラブルシューティングでは、

確認できた情報

と、

根本原因

を混同しないことが重要です。

たとえば、

銅線
+
強いEMI源

が確認できたとしても、

根本原因 = EMI

とはまだ確定していません。

この段階で言えるのは、

EMI / ケーブル経路を
原因候補として調査する

ということです。

光ファイバでも同じです。

光ファイバリンク
+
トランシーバーの対応媒体が不明

なら、まず、

トランシーバー仕様を確認
      ↓
光ファイバ種別を確認
      ↓
対応条件を照合

します。

トラブルシューティングでは、

確認情報
   ↓
原因候補
   ↓
追加確認
   ↓
候補を絞る
   ↓
根本原因を確定

という流れで考えます。

11. CCNAでの判断ポイント

ここで特に覚えるべき内容を整理します。

銅線(Copper)

電気信号
↓
電磁環境の影響を受ける可能性
↓
EMIを原因候補として調査できる

UTP

ツイストペア
+
シールドなし

シールド付きツイストペア(STP)

ツイストペア
+
シールド
↓
外来ノイズの影響を低減

光ファイバ(Fiber)

光信号
↓
光ファイバ伝送路自体は
銅線と同じEMIの影響を受けない

MMF / SMF

光ファイバ種別を識別
↓
トランシーバー仕様を確認
↓
対応する伝送媒体と照合

重要なのは、

名称だけから適合性を決めつけない

ことです。

トランシーバーの仕様と実際の伝送媒体を照合します。

12. よくある誤判断

「銅線で通信エラーがあるからEMI」

誤りです。

銅線を使用していることは、EMIを原因候補にする根拠になりますが、それだけで根本原因とは判断できません。

「シールド付きケーブルなら速度やデュプレックスの問題も解決する」

誤りです。

シールドの目的は、外来ノイズの影響を低減することです。

速度やデュプレックスは別の問題です。

「光ファイバなら物理障害は発生しない」

誤りです。

光ファイバでも、ケーブル、コネクタ、トランシーバー、光ファイバ種別などに関する障害は発生します。

光ファイバについて言えるのは、

光ファイバ伝送路自体を、銅線と同じEMIの仮説で扱わない

ということです。

「シングルモード用と呼ばれる光トランシーバーならSMFしか使えない」

名称だけから断定してはいけません。

トランシーバーによって対応する伝送媒体は異なります。

確認すべきなのは、

製品仕様上の対応する光ファイバ種別

です。

13. 診断の流れ

伝送媒体やケーブル種別を確認するときは、次の順序で整理します。

障害発生
   │
   ▼
使用している伝送媒体を確認
   │
   ├─ 銅線
   │    │
   │    ├─ UTP / STPを確認
   │    ├─ ケーブル経路を確認
   │    ├─ 周辺の電磁環境を確認
   │    └─ 伝送媒体の特性と症状が
   │       整合するか判断
   │
   └─ 光ファイバ
        │
        ├─ MMF / SMFを確認
        ├─ トランシーバー仕様を確認
        ├─ 対応する光ファイバ種別を確認
        └─ 実際の配線が条件を
           満たすか判断

このページでは、

伝送媒体とケーブル種別を使って原因候補を絞るところまで

を扱います。

以下の内容は後続ページで扱います。

  • ピン配置(Pinout)
  • 速度 / デュプレックス(Speed / Duplex)
  • インターフェースのエラーカウンター
  • 伝送距離
  • 光信号レベル

ここでは先取りしません。

まとめ

Ethernetの物理的な伝送媒体は、大きく銅線と光ファイバに分けて考えられます。

銅線は電気信号を使用するため、周辺の電磁環境が障害調査の材料になります。

光ファイバは光信号を使用するため、銅線と同じEMIの考え方ではなく、光ファイバ種別やトランシーバーとの対応条件を確認します。

重要なのは、単純な暗記ではありません。

伝送媒体を識別する
      ↓
ケーブル種別を確認する
      ↓
周辺環境またはトランシーバー仕様を確認する
      ↓
実際の構成と照合する
      ↓
原因候補として残すか除外する

という流れで判断できることです。

このページでは、

銅線・光ファイバとケーブル種別の違いを、実際の障害切り分けに使えること

を身につけます。

理解確認

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