Cisco / CCNA 200-301 v2.0

試験項目 1.5 · CCNA-032

Wireless Principles総合判断

Band / Channel / RF / Security / Interferenceを組み合わせたシナリオの説明・比較

このページのゴール

Band・Channel・RF・Security・Interferenceを組み合わせたシナリオを、Objective 1.5のWireless Principlesに基づいて説明・比較できるようにする。

このページで学ぶこと

  • Band + 端末 選択
  • Channel + Density 説明
  • RSSI / SNR Integrated Interpretation
  • Band + Security 選択
  • 信号強度不足 / Interference Integration
  • 到達範囲 / 収容力 Integrated トレードオフ
  • Channel Width / Reuse Integrated トレードオフ
  • RF / Interference Correlation
  • Security Role Integration
  • Integrated Wireless 説明

ページ027〜031では、

ページ027
→ 無線周波数帯

ページ028
→ 無線チャネル

ページ029
→ RF特性

ページ030
→ 無線セキュリティ

ページ031
→ 無線干渉

を個別に確認しました。

ページ032では、それらを1つのシナリオの中で組み合わせます。

重要なのは、

周波数帯だけ

チャネルだけ

RSSIだけ

セキュリティだけ

を単独で見るのではなく、

クライアント対応能力

通信範囲

収容能力

チャネル計画

RF条件

セキュリティ要件

干渉

を組み合わせて説明することです。

基本手順は、

要件
↓
クライアント対応能力
↓
周波数帯
↓
チャネル・幅
↓
RSSI・ノイズ・SNR
↓
セキュリティ
↓
干渉
↓
無線状態を説明・比較

です。

1. ページ032は無線の基本原理を統合する

ページ032の目的は、

ページ027〜031を
もう一度個別に講義する

ことではありません。

目的は、

複数の無線基本原理を
同じシナリオへ適用する

ことです。

例えば、

6 GHzを使いたい

クライアントはWPA2のみ対応

AP密度は高い

160 MHzを使用

ノイズは低い

というシナリオでは、

周波数帯、セキュリティ、チャネル幅、クライアント対応能力を同時に判断します。

2. 「説明できる」の範囲で考える

この範囲では、

無線の基本原理を
説明できる

ことが中心です。

したがってページ032では、

なぜその周波数帯が適切か

なぜそのチャネル計画が問題か

RF値が何を意味するか

どのセキュリティ上の役割か

どの干渉分類か

までを扱います。

一方、

OS設定を変更する

ドライバーを再インストールする

コントローラーGUIで修正する

パケットキャプチャから根本原因を確定する

といったトラブルシューティング手順は後続ページで扱います。

3. 無線判断では最初に要件を見る

技術名を先に選ぶのではなく、

何を実現したいか

を確認します。

例えば、

広い通信範囲が必要

多数クライアントを収容したい

旧式クライアントが存在する

高スループットが必要

エンタープライズ認証が必要

では、適切な設計判断が異なります。

4. クライアント対応能力は周波数帯選択より先に確認する

APが、

2.4 GHz

5 GHz

6 GHz

へ対応していても、

クライアントが同じ周波数帯へ対応しているとは限りません。

したがって、

AP対応能力
と
クライアント対応能力

の両方を確認します。

5. 2.4 GHzは互換性と通信範囲に価値がある

2.4 GHzは一般に、

旧式クライアント対応

比較的広い通信範囲

という利点があります。

一方、

利用可能周波数資源が限られる

非重複チャネルが少ない

非Wi-Fi干渉源が多い

という制約があります。

6. 5 GHzはチャネル選択肢と収容能力で有利になりやすい

5 GHzでは、

2.4 GHzより多くのチャネル

より広いチャネル幅の利用

チャネル再利用設計の自由度

を得やすくなります。

ただし、

DFS

クライアント対応能力

通信範囲要件

も考慮します。

7. 6 GHzは新しい周波数資源を利用できる

6 GHzでは、

広い周波数資源

多数のチャネル

広帯域チャネル

を利用できます。

一方、

6 GHz対応クライアント

最新のセキュリティ

が必要です。

したがって、

6 GHz対応APがある
=
すべてのクライアントを6 GHzへ移せる

とは判断しません。

8. ケース1:旧式ハンドヘルド端末と新しいノートPCが混在する

環境:

倉庫

旧式携帯端末
→ 2.4 GHzのみ

最新ノートPC
→ 5 GHzと6 GHz対応

なら、

旧式互換性
→ 2.4 GHzが必要

最新クライアント収容能力
→ 5 GHzと6 GHzへ分散する価値がある

と説明できます。

1つの周波数帯だけですべてを解決する必要はありません。

9. 通信範囲と収容能力は同じ要件ではない

通信範囲は、

信号が必要エリアまで届くか

です。

収容能力は、

必要なクライアント・トラフィックを
収容できるか

です。

したがって、

遠くまで届く周波数帯
=
最も高収容能力

とは限りません。

10. 2.4 GHzへ全クライアントを集めればよいわけではない

2.4 GHzが広く届くとしても、

多数クライアントを1つの限られた周波数資源へ集めると、

エアタイム競合

チャネル再利用制約

が大きくなる場合があります。

そのため、

互換性

と、

収容能力

を分けて考えます。

11. 周波数帯統合比較

周波数帯 主な利点 主な確認点
2.4 GHz 互換性、比較的広い通信範囲 限られた周波数資源、1/6/11、非Wi-Fi
5 GHz チャネル選択肢、収容能力 DFS、通信範囲、クライアント対応能力
6 GHz 広い周波数資源、広帯域チャネル クライアント対応能力、現行セキュリティ

この表は、

どの周波数帯が常に最善か

を決める表ではありません。

要件に応じて使い分けます。

12. 周波数帯の次にチャネルを考える

周波数帯を決めても、

どのチャネルを使うか

が不適切なら、

無線効率は低下します。

特に、

2.4 GHz

高密度

ではチャネル計画が重要です。

13. 2.4 GHzでは1/6/11を基本に考える

20 MHzを利用する代表的な計画では、

1

6

11

を非重複チャネルとして扱います。

近接APに、

1/2/3

を割り当てても、

独立した3チャネルにはなりません。

14. ケース2:近接APが1/3/6を使用する

環境:

AP-A
チャネル1

AP-B
チャネル3

AP-C
チャネル6

なら、

チャネル1と3

は2.4 GHzで周波数資源が重複します。

したがって、

隣接チャネル干渉

を説明できます。

15. 同じチャネルの再利用自体は禁止ではない

無線ネットワークでは、

チャネル再利用

が必要です。

例えば、

チャネル1
↓
チャネル6
↓
チャネル11
↓
十分離れた場所でチャネル1

という再利用は正常な考え方です。

問題は、

同一チャネルセルが
近すぎる

ことです。

16. 同一チャネルでは通信時間を共有する

近接するAPが、

同じチャネル

を使用すると、

同チャネル上の端末は、

共有媒体

として通信時間を競合します。

したがって、

同一チャネル
→ 同一チャネル競合

として説明します。

17. チャネル幅も同時に考える

チャネル番号だけでなく、

20 MHz

40 MHz

80 MHz

160 MHz

というチャネル幅も重要です。

幅を広げるほど、

1チャネルが使用する周波数資源は増えます。

18. 広帯域チャネルには最大スループット上の利点がある

利用可能な条件が整えば、

80 MHz

160 MHz

などの広帯域チャネルは、

1クライアントの高いデータレートに有利になる場合があります。

しかし、

広帯域
=
常に配置全体で最善

ではありません。

19. 広帯域チャネルでは独立チャネル数が減る

利用可能周波数資源が同じなら、

チャネル幅を広げる
↓
1チャネルが使う周波数資源増加
↓
独立チャネル数減少

となります。

その結果、

再利用

が難しくなる場合があります。

20. 高密度では20 MHzが有利な場合がある

多数APを配置する環境では、

独立チャネルを多く確保する

ことが重要です。

そのため、

20 MHz

を利用してチャネル再利用を改善する方が、

広帯域チャネルを大量に使うより適する場合があります。

21. ケース3:高密度オフィスで160 MHzを使用する

環境:

高密度オフィス

AP多数

160 MHz

で、

同一チャネルセルが
近距離で繰り返し再利用

されている場合、

広帯域チャネルによって
独立チャネル数が減少
↓
同一チャネル再利用増加
↓
エアタイム競合増加

という関係を説明できます。

22. チャネル幅統合比較

幅 周波数資源消費 独立チャネル数 配置上の特徴
20 MHz 小さい 多く確保しやすい 高密度で再利用しやすい
40 MHz 増える 減る スループットと再利用の中間
80 MHz 大きい さらに減る 最大レートを高めやすい
160 MHz 非常に大きい 少ない 周波数資源に余裕が必要
320 MHz 極めて大きい さらに限られる Wi-Fi 7の6 GHz

重要なのは、

幅を広げる
=
必ずネットワーク収容能力が増える

ではないことです。

23. RF値はチャネル計画と別の情報を与える

チャネル計画が適切でも、

信号が弱い

ノイズが高い

場合があります。

そこで、

RSSI

ノイズフロア

SNR

を確認します。

24. RSSIは受信信号強度を見る

例えば、

-50 dBm

-75 dBm

なら、

-50 dBm

の方が強い信号です。

負のdBmでは、

0に近い方が強い

と判断します。

25. ノイズフロアは背景RFエネルギーを見る

例えば、

-95 dBm

-70 dBm

なら、

-70 dBm

の方がノイズ電力は強い状態です。

したがって、

ノイズ -95 dBm

の方が低ノイズです。

26. SNRは信号とノイズの差を見る

基本式は、

SNR
=
信号 - ノイズ

です。

例えば、

信号
-60 dBm

ノイズ
-90 dBm

なら、

SNR
=
30 dB

です。

27. 同じRSSIでもRF状態は異なる

ケースA:

RSSI
-60 dBm

ノイズ
-95 dBm

SNR
35 dB

ケースB:

RSSI
-60 dBm

ノイズ
-68 dBm

SNR
8 dB

なら、

RSSIは同じでも、

ケースA

の方が信号とノイズを分離しやすいRF状態です。

28. ケース4:強いRSSIだが通信品質が悪い

環境:

RSSI
-55 dBm

ノイズ
-62 dBm

なら、

SNR
7 dB

です。

この場合、

AP信号が弱すぎる

という説明より、

高いノイズ・干渉

を考える方が適切です。

29. 弱いRSSIと低いノイズを読む

環境:

RSSI
-85 dBm

ノイズ
-96 dBm

なら、

SNR
11 dB

です。

このシナリオでは、

距離

減衰

通信範囲

による信号強度不足を優先して考えます。

30. 強いRSSIと高いノイズを読む

環境:

RSSI
-55 dBm

ノイズ
-65 dBm

なら、

SNR
10 dB

です。

信号自体は強いですが、

ノイズフロアが高い

ため、

干渉を疑います。

31. RF統合判断表

RSSI ノイズ SNR傾向 主な解釈
強い 低い 高い 良好なRF状態
弱い 低い 低くなり得る 通信範囲・減衰
強い 高い 低い 干渉・高いノイズ
弱い 高い 低い 信号とノイズ双方を確認

SNRだけで原因を決めず、

信号

ノイズ

を分けて確認します。

32. 減衰と干渉を区別する

クライアントがAPから離れ、

RSSI
-50 dBm
↓
-82 dBm

ノイズ
ほぼ不変

なら、

距離・減衰

による信号強度低下を考えます。

これは、

他のRF信号が妨害している

とは限りません。

33. 壁による信号損失も減衰

例えば、

AP
↓
コンクリート壁
↓
クライアント

で信号が弱くなる場合、

減衰

として説明できます。

ページ031の干渉とは分けます。

34. 干渉ではノイズの変化を見る

正常時:

RSSI
-58 dBm

ノイズ
-94 dBm

問題時:

RSSI
-58 dBm

ノイズ
-70 dBm

なら、

信号は同じです。

大きく変化したのは、

ノイズフロア

です。

この場合、

RF干渉

を考えます。

35. 非Wi-Fi干渉源も周波数帯と組み合わせる

Bluetoothや電子レンジは、

2.4 GHz

に影響する代表的な非Wi-Fi干渉源です。

したがって、

2.4 GHzだけ不安定

5 GHzは正常

キッチン付近で発生

というシナリオなら、

周波数帯情報と干渉情報を組み合わせます。

36. ケース5:昼休みに2.4 GHzだけ悪化する

環境:

2.4 GHzクライアント
→ 性能低下

5 GHzクライアント
→ 通常

発生時間
→ 昼休み

場所
→ キッチン付近

なら、

電子レンジ

による非Wi-Fi干渉を原因候補として説明できます。

37. DFSも周波数帯と組み合わせる

DFSは、

5 GHzの一部チャネル

でレーダーとの共存に使用します。

したがって、

5 GHz

DFSチャネル

レーダー検出

チャネル変更d

なら、

DFS・レーダーイベント

として説明します。

38. DFSを同一チャネル競合と混同しない

DFSによるチャネル変更は、

レーダー検出

による規制上の動作です。

一方、

同一チャネル競合

は、

同チャネルのWi-Fi端末が通信時間を共有する問題です。

この2つは異なります。

39. セキュリティも周波数帯とは独立ではない

セキュリティを選ぶとき、

パーソナル

エンタープライズ

だけでなく、

使用する周波数帯

も確認します。

特に、

6 GHz

ではセキュリティ要件が重要です。

40. WPA2-PersonalとWPA3-Personalを分ける

基本対応は、

WPA2-Personal
→ PSK

WPA3-Personal
→ SAE

です。

SAEを、

暗号化アルゴリズム

とは考えません。

認証・鍵確立側です。

41. エンタープライズでは802.1Xを考える

基本対応は、

WPA2-Enterprise
→ 802.1X/EAP

WPA3-Enterprise
→ 802.1X/EAP

です。

一般的なエンタープライズWLANでは、

RADIUS

も認証基盤として関連します。

42. AES-CCMPは認証ではない

AES-CCMPは、

トラフィックの暗号化・完全性

側です。

したがって、

802.1X
→ エンタープライズ認証

AES-CCMP
→ 通信保護

と分離します。

43. セキュリティ上の役割統合表

要素 主な役割
PSK WPA2-Personalの認証・鍵管理
SAE WPA3-Personalの認証・鍵確立
802.1X/EAP エンタープライズ認証
RADIUS エンタープライズAAA基盤
AES-CCMP トラフィックの暗号化・完全性
PMF ロバスト管理フレーム保護

同じ無線セキュリティの中でも役割は異なります。

44. ケース6:小規模オフィスでWPA3を使う

要件:

小規模オフィス

共有パスワード

クライアントはWPA3対応

なら、

WPA3-Personal

SAE

を説明できます。

エンタープライズ802.1Xを必須とする要件ではありません。

45. ケース7:企業WLANでユーザー単位認証が必要

要件:

企業WLAN

ユーザー単位認証

中央認証サーバー

なら、

エンタープライズセキュリティ

802.1X/EAP

RADIUS

を関連付けます。

46. 6 GHzではWPA2を使用しない

6 GHzのWLANでは、

WPA2のみ

をセキュリティ方式として利用しません。

したがって、

クライアント
→ WPA2のみ

周波数帯
→ 6 GHz

なら、

セキュリティ対応能力が
要件を満たさない

と説明できます。

47. 6 GHzパーソナルではWPA3-PersonalとSAEを考える

要件:

6 GHz

パスワード型

パーソナルWLAN

なら、

WPA3-Personal

SAE

PMF必須

を関連付けます。

48. 6 GHzエンタープライズでは802.1Xを考える

要件:

6 GHz

企業

エンタープライズ認証

なら、

WPA3-Enterprise

802.1X/EAP

PMF必須

を関連付けます。

49. 6 GHzゲストではOWEという選択肢がある

要件:

6 GHz

ゲスト

パスワードなし

トラフィックは暗号化したい

なら、

拡張オープン(Enhanced Open:OWE)

を考えます。

OWEは、

WPA3-PersonalとSAE

とは別です。

50. ケース8:6 GHz対応APだが旧式クライアントが接続できない

環境:

AP
→ 6 GHz対応

クライアント
→ 5 GHzまで

なら、

セキュリティ以前に、

周波数帯対応能力不足

があります。

したがって、

APが6 GHz対応
=
クライアントも6 GHzへ接続可能

とは判断しません。

51. ケース9:クライアントは6 GHz対応だがWPA2のみ

環境:

クライアント無線
→ 6 GHz対応

セキュリティ対応能力
→ WPA2のみ

なら、

6 GHz利用条件を満たしません。

つまり、

周波数帯対応能力

セキュリティ対応能力

の両方が必要です。

52. 周波数帯とセキュリティはセットで評価する

例えば、

2.4 GHzと5 GHz

なら、

移行期間に、

WPA2/WPA3移行モード

を利用する場合があります。

一方、

6 GHz

へWPA2クライアントをそのまま収容する考え方は使いません。

53. 移行モードは互換性のために使う

2.4 GHzと5 GHzで、

旧式クライアント
→ WPA2-Personal

最新クライアント
→ WPA3-Personal

が混在するなら、

WPA2/WPA3移行モード

は段階移行の候補です。

しかし、

WPA3専用

と同じではありません。

54. 無線判断ではクライアントだけを見ない

クライアント要件が重要でも、

AP密度

チャネル幅

ノイズ

セキュリティ

も同時に考える必要があります。

例えば、

最新クライアントだから
160 MHzを使う

と自動的には決まりません。

55. ケース10:現行クライアント多数を高密度で収容する

環境:

最新クライアント

5 GHzと6 GHz対応

AP密度
高

160 MHz使用

なら、

クライアント対応能力だけを見れば広帯域チャネルを使えます。

しかし配置では、

独立チャネル数

再利用

競合

も確認します。

高密度なら、

20/40 MHz

の方が全体収容能力に適する場合があります。

56. 最大スループットとシステム全体の収容能力を分ける

最大スループットは、

1クライアントが
どれだけ高速に通信できるか

に近い考えです。

システム全体の収容能力は、

ネットワーク全体で
多数クライアントをどれだけ収容できるか

です。

したがって、

最大チャネル幅
=
最大システム収容能力

とは限りません。

57. ケース11:通信範囲を伸ばしたいだけなのにAPを増設する

通信範囲不足のシナリオで、

クライアントRSSI
-85 dBm

ノイズ
-95 dBm

なら、

信号強度不足が中心です。

ここで、

チャネル幅を160 MHzへ変更

しても、

通信範囲問題を直接解決するとは限りません。

58. ケース12:同じチャネルのAPを追加する

環境:

既存AP
チャネル36

追加AP
チャネル36

セル重複大

なら、

AP数は増えますが、

エアタイム競合

も増える可能性があります。

AP追加
=
必ず収容能力増加

ではありません。

59. 統合シナリオでは原因と結果をつなぐ

例えば、

広帯域チャネル

だけで終わらず、

広帯域チャネル
↓
独立チャネル数減少
↓
再利用増加
↓
同一チャネル競合増加
↓
配置上の収容能力へ影響

まで説明できることが重要です。

60. RFと干渉も因果関係で読む

例えば、

非Wi-FiのRFエネルギー増加
↓
ノイズフロア上昇
↓
SNR低下
↓
フレーム受信が難しくなる
↓
性能低下

という流れで説明します。

単に、

ノイズが高い

で終わらせません。

61. セキュリティも役割から説明する

例えば、

WPA3-Personal

という名称だけでなく、

SAE
→ 認証・キー確立

PMF
→ 管理フレーム保護

トラフィック暗号方式
→ データ保護

という役割を分けて説明します。

62. ケース13:RSSIは良好だが再試行が多い

環境:

RSSI
-55 dBm

ノイズ
-68 dBm

SNR
13 dB

2.4 GHz

近傍で電子レンジが稼働

なら、

弱い信号

より、

高いノイズ・非Wi-Fi干渉

との整合性が高いシナリオです。

63. ケース14:RSSIが低いがノイズは低い

環境:

RSSI
-84 dBm

ノイズ
-96 dBm

クライアント
APから遠い

なら、

通信範囲・減衰

を説明します。

同一チャネル干渉

を自動的に選びません。

64. ケース15:6 GHz高密度企業WLAN要件

6 GHz対応クライアント

エンタープライズ認証

高いクライアント密度

なら、

セキュリティでは、

WPA3-Enterprise

802.1X/EAP

PMF必須

を考えます。

チャネル計画では、

利用可能周波数資源

チャネル幅

再利用

を考えます。

つまり、

6 GHz
=
必ず最大チャネル幅

ではありません。

65. 周波数帯・チャネル・RF・セキュリティを順番に確認する

統合シナリオでは、

1. クライアントが周波数帯へ対応しているか

2. 周波数帯の通信範囲・収容能力特性は要件に合うか

3. チャネル・幅・再利用は適切か

4. RSSI・ノイズ・SNRはどうか

5. セキュリティ対応能力は合うか

6. 干渉を示す根拠はあるか

という順で整理できます。

66. すべてを「最強設定」にしない

無線設計では、

最も新しい周波数帯

最大チャネル幅

最高送信電力

最も多いAP

を同時に選べば最善、とは限りません。

無線では、

互換性

通信範囲

収容能力

再利用

セキュリティ

RF環境

のトレードオフを考えます。

67. よくある誤判断

誤り1:6 GHzが使えるなら全クライアントを6 GHzへ移せばよい

クライアントの周波数帯対応能力とセキュリティ対応能力を確認します。

誤り2:2.4 GHzは古いので使用価値がない

旧式互換性や通信範囲で必要になる場合があります。

誤り3:最も広いチャネル幅が常に最も高収容能力

高密度では独立チャネル数とのトレードオフがあります。

誤り4:APを増やせば必ず収容能力が増える

再利用が悪ければ同一チャネル競合が増える場合があります。

誤り5:RSSIが強ければRF状態は良好

ノイズとSNRも確認します。

誤り6:低いSNRなら必ず信号が弱い

高いノイズでも低いSNRになります。

誤り7:信号が遠距離で弱くなったら干渉

距離・減衰の場合があります。

誤り8:2.4 GHzで1/2/3を使えば3チャネルに分離できる

周波数資源が重複します。

誤り9:同チャネルは一度しか使用できない

空間的分離を取りながら再利用します。

誤り10:WPA3ならすべてSAE

エンタープライズでは802.1Xを利用します。

誤り11:AES-CCMPは認証方式

AES-CCMPは暗号化・完全性などのトラフィック保護側です。

誤り12:6 GHzでWPA2-Personalを利用できる

6 GHzではWPA2を使用しません。

誤り13:OWEはWPA3-Personal

拡張オープン(OWE)とSAEは別です。

誤り14:DFSは同一チャネル干渉を検出する仕組み

DFSはレーダーとの共存に関係します。

誤り15:無線が遅いだけで原因を決められる

周波数帯、チャネル、RF、セキュリティ、干渉を示す根拠を組み合わせます。

68. 統合比較表

シナリオ 最初に注目する要素 主な説明
旧式クライアントが接続必要 クライアント・周波数帯 2.4 GHz等の互換性
高密度で広帯域チャネル 幅・再利用 独立チャネル数減少と競合
強いRSSIと高いノイズ RF・干渉 低いSNR、高いノイズ
弱いRSSIと低いノイズ RF・通信範囲 距離・減衰
6 GHzとWPA2のみのクライアント 周波数帯・セキュリティ 対応能力不一致
6 GHzエンタープライズ セキュリティ WPA3-Enterprise・802.1X・PMF
5 GHz DFSイベント 周波数帯・DFS レーダー検出によるチャネル変更
2.4 GHzのチャネル1とチャネル2 チャネル 隣接チャネル干渉

69. 無線統合判断手順

要件を確認
↓
クライアント対応能力を確認
↓
周波数帯を選ぶ
↓
チャネル・幅・再利用を確認
↓
RSSIを確認
↓
ノイズフロアを確認
↓
SNRを計算
↓
セキュリティ要件を確認
↓
干渉を示す根拠を確認
↓
複数原理を組み合わせて説明

です。

70. このページで扱う判断範囲

ここでは、次のような具体的な設定変更や復旧操作ではなく、無線の基本原理を説明・比較することに集中します。

WindowsのIP設定を修正する

DHCPリースを更新する

ドライバーを再導入する

コントローラーGUIでWLANを変更する

APスイッチポートを修正する

VLANを変更する

PoE障害を修正する

71. 次に確認する内容

次のページ033からは、クライアント接続トラブルシューティングを扱います。

ページ033ではまず、

クライアントIP設定

を確認し、

インターフェース

IPアドレス

プレフィックス

デフォルトゲートウェイ

DNS

アドレス割り当て方式

などから設定不一致を識別します。

ここでは、

確認
→ 根本原因
→ 修正
→ 再確認

という一連の復旧手順そのものではなく、無線の基本原理を組み合わせた判断に集中します。

72. 最終的に判断できるようにすること

ページ032では最終的に、

クライアント対応能力から
利用可能周波数帯を判断できる

2.4 GHzと5 GHzと6 GHzの
通信範囲・収容能力・
互換性のトレードオフを
説明できる

旧式クライアントと
最新クライアントが混在するシナリオで
周波数帯を使い分けられる

2.4 GHzで
1/6/11を
チャネル計画へ適用できる

同一チャネルと
隣接チャネルを
シナリオから区別できる

チャネル幅を広げると
独立チャネル数が減ることを
説明できる

高密度で
20 MHzを使う理由を
説明できる

広帯域チャネルと
ピークスループットと
配置上の収容能力を
区別できる

RSSIをdBmで比較できる

ノイズフロアをdBmで比較できる

SNRをdBで計算できる

同じRSSIでも
ノイズによってRF条件が
変わると説明できる

弱い信号と
高いノイズを区別できる

距離・壁による
減衰を
干渉と区別できる

非Wi-FiのRFによる
ノイズ上昇を説明できる

Bluetooth・マイクロ波を
2.4 GHz干渉源として
関連付けられる

DFS・レーダーイベントを
同一チャネル競合と
区別できる

WPA2-PersonalとPSKを
関連付けられる

WPA3-PersonalとSAEを
関連付けられる

エンタープライズセキュリティと
802.1X/EAPを
関連付けられる

AES-CCMPを
通信保護として
説明できる

PMFを
管理フレーム保護として
説明できる

6 GHzで
WPA2を使用しないと
判断できる

6 GHzパーソナルで
WPA3-PersonalとSAEを
判断できる

6 GHzエンタープライズで
WPA3-Enterpriseと802.1Xを
判断できる

OWEを
パスワードなしの暗号化されたWLANとして
認識できる

周波数帯とセキュリティ対応能力を
組み合わせて判断できる

AP密度とチャネル幅と再利用を
組み合わせて説明できる

RSSI・ノイズ・SNRと
干渉を示す根拠を
組み合わせて説明できる

複数の無線基本原理から
シナリオを説明・比較できる

必要があります。

まとめ

ページ032では、

周波数帯

チャネル

RF特性

セキュリティ

干渉

を統合しました。

無線シナリオを見るときは、

クライアント対応能力

から始めます。

次に、

周波数帯

について、

互換性

通信範囲

収容能力

を比較します。

チャネルでは、

チャネル番号

チャネル幅

再利用

AP密度

を組み合わせます。

高密度では、

広帯域チャネル
↓
独立チャネル数減少
↓
再利用増加
↓
同一チャネル競合増加

というトレードオフを説明できます。

RFでは、

RSSI

ノイズフロア

SNR

を組み合わせます。

強いRSSI
かつ
高いノイズ
かつ
低いSNR

なら干渉を疑い、

弱いRSSI
かつ
低いノイズ

なら通信範囲・減衰を優先して考えます。

セキュリティでは、

WPA2-Personal
→ PSK

WPA3-Personal
→ SAE

エンタープライズ
→ 802.1X/EAP

AES-CCMP
→ 通信保護

PMF
→ 管理フレーム保護

と役割を分離します。

6 GHzでは、

WPA2を使用しない

PMF必須

という条件を周波数帯判断と組み合わせます。

干渉では、

同一チャネル

隣接チャネル

非Wi-Fi

高いノイズ

広帯域チャネル密度

DFS・レーダー

を根拠から分類します。

最終的には、

要件
↓
クライアント
↓
周波数帯
↓
チャネル・幅・再利用
↓
RSSI・ノイズ・SNR
↓
セキュリティ
↓
干渉
↓
無線状態を説明・比較

という手順で判断します。

次のページ033からは、

後続ページ
クライアント接続トラブルシューティング

へ進み、

まずクライアント側の、

インターフェース

IPアドレス

プレフィックス

デフォルトゲートウェイ

DNS

アドレス割り当て方式

を確認して、期待設定との不一致を識別します。

理解確認

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