AWS / SAP-C02

SAP-C02-156 · セクション 18 / タスク 4.2

AWS Snow FamilyとOffline Migration

AWS Snow Family / Offline Transfer / Large Data Volume / Limited Bandwidth / Physical Device / Migration Window

ネットワーク経由のOnline Migrationだけでは、Large Data VolumeをMigration Window内に転送できないことがあります。その場合は、データをPhysical Deviceへコピーして物理的に搬送するOffline Transferが候補になります。

ここではAWS Snow Familyの技術的役割と、Physical Deviceを使うときに必要なBandwidth、ローカルコピー、配送、差分処理、セキュリティの判断を整理します。

1. Offline Transferは大量データを物理的に運ぶ

Offline Transferでは、Large Data VolumeをWANだけでAWSへ送り切るのではなく、Physical Deviceへローカルコピーし、そのデバイスを物理配送してAWS側へ取り込みます。

移行元
↓
Physical Deviceへローカルコピー
↓
物理配送
↓
AWS側へ取り込み

Physical DeviceはWAN回線そのものを高速化する装置ではありません。WANで全量を転送する必要を減らすための移行方式です。

2. AWS Snow FamilyとSnowball Edge

AWS Snow Familyは、データ転送やエッジ用途で使用されてきた物理デバイスのサービス群です。Offline TransferではSnowball Edgeが代表的なデバイスとして扱われます。

AWSでジョブを準備
↓
Snowball Edgeを受け取る
↓
オンプレミスでデータをコピー
↓
デバイスを返送
↓
AWS側でAmazon S3へ取り込む

SAP-C02では、Snowball Edgeを使うときの技術的な役割と制約を理解しておくことが重要です。

3. Physical Deviceを使ってもネットワークが完全に不要になるわけではない

Offline Transferでも、移行元からSnowball Edgeへデータをコピーするためのローカルネットワークは必要です。

ファイルサーバー
↓
ローカルネットワーク
↓
Snowball Edge

そのため、コピー時間はローカルネットワークだけでなく、移行元ストレージの読み取り性能や送信元サーバーの性能にも影響されます。

4. Limited BandwidthのときにPhysical Deviceが有効になる理由

拠点からAWSまでのBandwidthが小さい場合、Large Data VolumeをWANだけで送るとMigration Windowを超えることがあります。

Physical Deviceを利用すると、大量データの主要部分をローカルでコピーして物理搬送できるため、制約のあるWANで全量を送る必要を減らせます。

Limited Bandwidth
+
Large Data Volume
↓
WANだけでは期間内に完了しにくい
↓
Physical DeviceによるOffline Transferを検討

5. Large Data VolumeだけでSnow Familyを決めない

データ量が大きいことだけを理由に、直ちにPhysical Deviceを選択するわけではありません。

少なくとも、次の条件を合わせて確認します。

  • Large Data Volume
  • 利用可能なBandwidth
  • ローカルコピー速度
  • Migration Window
  • コピー中・コピー後のデータ更新状況

十分なBandwidthがあり、Migration Window内にオンライン転送できるなら、Large Data VolumeであってもOnline Migrationが成立する場合があります。

6. Migration Windowには配送時間も含めて考える

Physical Deviceを利用するとき、Migration Windowはローカルコピー時間だけではありません。

デバイス準備
↓
配送
↓
ローカルコピー
↓
返送
↓
AWS側取り込み
↓
検証
↓
切り替え

これらを含めた全体所要時間が、許容されるMigration Windowに収まるかを確認します。

7. Physical Deviceにもローカル転送性能の制約がある

Snowball Edgeへコピーする時間は、デバイス容量だけでは決まりません。

ストレージの読み取り性能、ローカルネットワーク、送信元サーバー性能、小さなファイルが大量に存在するかなどによって、実効的なローカル転送速度は変わります。

そのため、机上の最大速度だけではなく、移行元環境での実測値を使って計画することが重要です。

8. 大規模移行では複数デバイスを使う場合がある

1台ずつ処理するとMigration Windowを満たせないLarge Data Volumeでは、複数のPhysical Deviceを並列で利用する場合があります。

総データ量
+
Physical Device容量
+
実測ローカル転送速度
+
許容日数
↓
必要デバイス数 / 並列度を見積もる

必要台数はデータ量だけで決めず、各デバイスへコピーできる速度と期限を合わせて計画します。

9. Physical Deviceへコピーした後の変更は自動追随しない

Physical Deviceへデータをコピーした後も移行元で更新が続く場合、その変更が返送済みデバイスへ自動的に継続Replicationされるわけではありません。

初回コピー
↓
移行元で変更
↓
変更はPhysical Deviceへ自動追随しない
↓
切り替え前に最終差分を別途処理

Offline Transferを採用するときは、初期全量だけでなく、コピー後に発生する変更をどのように収束させるかも設計します。

10. Offline Transferはデータ搬送の方式

Offline Transferの責任は、ファイル、バックアップ、大量オブジェクトなどのデータを物理的に搬送することです。

つまり、Physical Deviceを利用したという事実だけで、アプリケーションやSource Serverそのものの移行方式まで決まるわけではありません。

11. Physical Deviceではデータ保護も必要

Snowball Edgeには、暗号化、耐タンパー設計、Trusted Platform Module(TPM)などの保護機構があります。

ただし、暗号化されるからといって配送管理が不要になるわけではありません。Physical Deviceの受け取り、保管、受け渡し、返送についても管理します。

データ保護
+
Physical Deviceの受け渡し管理
↓
Offline Transfer全体のセキュリティ

12. 2026年のAWS Snow Family利用条件

2025年11月7日以降、新規顧客はAWS Snow Familyデバイスを新規注文できません。

そのため2026年に新規顧客向けの移行アーキテクチャを設計する場合、Snow Familyの技術的役割を理解したうえで、現在利用可能な別の転送手段を評価する必要があります。

13. 商用リージョンでは2026-12-31にSnowballサポート終了予定

AWS商用リージョンにおけるSnowballデバイスのサポートは、2026年12月31日に終了予定です。

現在は2026年9月なので、既存顧客がSnowballを利用した新しい移行計画を作成する場合は、この終了予定日より前に完了できるか、別方式へ移行するかを計画します。

14. 試験上の役割と現在のサービス状態を分ける

AWS Snow Familyは現在もSAP-C02の試験対象サービスに含まれています。

したがって、

試験上
→ AWS Snow Family / Snowball Edgeの技術的役割を理解する

2026年の実設計
→ 新規注文条件とサポート終了予定を確認する

という2つを分けて判断します。

15. Offline TransferのMigration Windowを整理する

確認対象主な内容
データ量移行対象の総データ量とPhysical Device容量
ローカルコピーストレージ読み取り、ローカルネットワーク、サーバー性能
配送デバイス受け取りと返送に必要な時間
AWS側処理データ取り込みと検証
差分初回コピー後に発生した変更の処理
期限全工程がMigration Windowに収まるか

16. 判断の流れ

Large Data Volumeを移行
↓
利用可能なBandwidthを確認
↓
オンライン転送だけでMigration Windowを満たせるか
↓
難しい場合
→ Physical DeviceによるOffline Transferを検討
↓
ローカルコピー速度を確認
↓
配送 / 返送 / AWS側取り込みを含めて期限を評価
↓
必要なら複数デバイスを並列利用
↓
コピー後の変更を最終差分として処理
↓
Physical Deviceの保護と受け渡しを管理

SAP-C02では、Large Data VolumeだけでPhysical Deviceを即決せず、Bandwidth、ローカルコピー速度、Migration Window、データ更新状況を合わせて判断することが重要です。