SAP-C02-157 · セクション 18 / タスク 4.2
Online / Offline Data Transferを選択する
AWS DataSync / AWS Transfer Family / S3 Transfer Acceleration / AWS Snow Family / Data Volume / Bandwidth / Transfer Selection
データ転送方式を選ぶときは、Data Volumeが大きいからAWS Snow Family、Online TransferだからAWS DataSync、というように1つの条件だけでサービスを決めることはできません。
まずData Volume、実効Bandwidth、利用できる移行期間からOnline Transferが成立するかを確認し、そのうえで転送目的と現在利用できるサービスを組み合わせてTransfer Selectionを行います。
1. Transfer Selectionでは「実現可能性」と「転送目的」を分けて考える
最初の判断は「どのサービスを使うか」ではありません。
Data Volume
↓
実効Bandwidth
↓
利用できる期間
↓
Online Transferで完了できるか
Online Transferが成立するなら、次に転送目的を確認します。
NFS / SMB等のストレージデータ移行
→ AWS DataSync
SFTP / FTPS / FTP / AS2等のファイル転送ワークフロー
→ AWS Transfer Family
既存S3 APIによる遠距離転送の最適化
→ S3 Transfer Acceleration
ネットワークだけでは期間内に移行できず、物理搬送が必要ならOffline Transferを検討します。
サービスの機能が要件に合うだけではなく、その転送方式自体がData Volume、Bandwidth、期間の条件で成立することが必要です。
2. Data Volumeだけではサービスを決めない
例えば70 TBのデータがあっても、70 TBだから必ずOffline Transferとは限りません。
十分な実効Bandwidthと長い事前転送期間があり、ネットワーク転送で期限を満たせるならOnline Transferを利用できます。
反対にデータ量が比較的小さくても、Bandwidthが極端に小さく利用できる期間が短ければ、Online Transferだけでは成立しない場合があります。
Data Volume
+
Bandwidth
+
利用できる期間
↓
Online Transferが成立するか
固定された「○ TB以上ならOffline」というしきい値では判断しません。
3. Online Transferが成立しても、次に転送目的を確認する
同じData VolumeとBandwidthでも、要求される転送方式が異なれば選択するサービスも変わります。
オンプレミスNFS
↓
AWSストレージへ既存データを移行
取引先
↓
SFTP
↓
AWS上の保存先
前者ではストレージデータ移行、後者では既存ファイル転送ワークフローの維持が中心要件です。
つまりData VolumeとBandwidthだけではなく、何を、どの方式で、何のために転送するかまで確認してTransfer Selectionを行います。
4. サービスの役割は比較条件として使う
Transfer Selectionでは、既習の各サービスの役割を次のような比較条件として使います。
| 要件 | 主な候補 |
|---|---|
| NFS / SMB等のストレージデータをOnlineで移行 | AWS DataSync |
| SFTP / FTPS / FTP / AS2等の既存ワークフローをAWSへ移行 | AWS Transfer Family |
| 既存S3 APIによる遠距離転送を最適化 | S3 Transfer Acceleration |
| Online Transferでは期限を満たせずPhysical Deviceが必要 | 利用条件を確認したうえでAWS Snow Family等のOffline方式 |
「転送先がAmazon S3」という1条件だけではサービスは確定しません。同じAmazon S3を最終保存先にしていても、NFSデータの移行と既存S3 APIによる遠距離アップロードでは選択が異なる場合があります。
5. サービス適合性より先にOnline Transferの成立性を見る場合がある
例えば、200 TB、実効Bandwidth 1 Gbps、利用可能期間5日、既存SFTPワークフローという要件を考えます。
SFTPという条件だけを見ればAWS Transfer Familyが候補ですが、それだけで確定しません。
200 TBを
実効1 Gbpsで
5日以内に
Online Transferできるか
期限内に全量転送できないのであれば、「SFTPだからAWS Transfer Family」という機能面だけの判断では要件を満たせません。
転送プロトコルへの適合性と、Data Volume / Bandwidth / 期間から見た転送方式の成立性の両方を確認します。
6. 同じ転送先でも送信元と転送方式を見る
次の2つは、どちらもAmazon S3を最終保存先にします。
ケースA
オンプレミスNFS
↓
大量の既存データ
↓
Amazon S3
ケースB
世界各地のアプリケーション
↓
既存S3 API
↓
Amazon S3
ケースAの中心要件はストレージデータ移行です。ケースBの中心要件が遠距離S3転送の最適化なら、ケースAとは異なる選択になります。
確認するのは、送信元、現在の転送方式、解決したい制約です。
7. Bandwidthの制約と転送最適化を混同しない
転送経路を最適化する機能があっても、拠点の物理回線上限そのものが消えるわけではありません。
例えば50 TB、拠点回線20 Mbps、2日以内という条件なら、転送経路を最適化するサービスを使うだけでは十分ではありません。
Data Volume
÷
実効Bandwidth
↓
利用可能期間へ収まるか
Online Transfer自体が成立しないのであれば、サービス機能だけを比較しても要件は満たせません。
8. 大量の初期データと最終差分で方式を分ける場合もある
Transfer Selectionでは、全データを1つの方式だけで転送する必要はありません。
例えば180 TBの既存データがあり、切り替えまで少量の更新が継続し、既存データ全量をOnline TransferするとMigration Windowを超える場合を考えます。
大量の初期データ
→ Offline Transfer
初期コピー後の変更分
→ 利用可能なOnline Transfer
判断対象は、初期データ量、更新量、Bandwidth、Migration Windowです。
大量データがあるからすべてOffline、更新データがあるからすべてOnlineと固定するのではなく、転送フェーズごとに成立する方式を組み合わせます。
9. 現在利用できるサービスかもTransfer Selectionの条件
技術的に適しているサービスでも、現在利用できなければ実際のアーキテクチャには採用できません。
2026年現在、新規顧客はAWS Snow Familyデバイスを新規注文できません。
技術的に要件へ適合するか
+
現在その顧客が利用できるか
↓
実際に採用できる候補か
Physical DeviceによるOffline Transferが技術的に適していても、その具体的なサービスを現在利用できないのであれば、BandwidthやMigration Windowを変更できるか、別の利用可能な転送手段があるかを再評価します。
10. Bandwidthが小さいだけでもOfflineへ固定しない
例えば8 TB、実効Bandwidth 25 Mbpsという条件でも、事前転送期間45日を利用でき、実測した転送速度で期限を満たせるのであればOnline Transferを利用できる可能性があります。
さらに転送対象がNFSデータなら、Online Transferが成立することを確認したうえでAWS DataSyncを候補にできます。
Bandwidthが小さい
≠
必ずOffline
Data Volume
÷
実効Bandwidth
↓
利用可能期間へ収まるか
11. 1つの条件を絶対条件にしない
次のような判断は避けます。
大容量
→ 必ずOffline
Online
→ 必ずDataSync
Amazon S3
→ 必ずTransfer Acceleration
ファイル
→ 必ずTransfer Family
代わりに複数の条件を順番に確認します。
Data Volume
↓
実効Bandwidth
↓
利用可能期間
↓
Online / Offlineの実現可能性
↓
送信元と転送方式
↓
転送先
↓
必要なワークフロー
↓
現在のサービス利用可否
↓
Transfer Selection
12. 最終判断フロー
移行するData Volumeを確認
↓
実効Bandwidthを確認
↓
利用可能期間でOnline Transferできるか
↓
YES
↓
転送目的を確認
├─ NFS / SMB等のストレージ移行
│ → AWS DataSync
│
├─ SFTP / FTPS / FTP / AS2
│ → AWS Transfer Family
│
└─ 既存S3 API + 遠距離転送最適化
→ S3 Transfer Acceleration
NO
↓
Offline Transferを検討
↓
Physical Deviceが適合するか
↓
現在利用できるサービスか確認
↓
Transfer Selection
SAP-C02では、Data Volumeやサービス名だけで即決せず、Online / Offlineの実現可能性と実際の転送目的を組み合わせてTransfer Selectionを完成させることが重要です。