Cisco / CCNA 200-301 v2.0

試験項目 1.5.b · CCNA-029

RF Characteristics

dB / dBm / dBi / RSSI / Noise Floor / SNR / Attenuation / Reflection / Absorption / Scattering / Multipath

このページのゴール

Wireless RF Signalの電力・Noise・損失・Propagationを理解し、RSSI・Noise・SNRなどの値からRF状態を説明できるようにする。

このページで学ぶこと

  • dB Ratio
  • dBm 絶対電力
  • dBi Antenna Gain
  • Basic dB Rules
  • RSSI Comparison
  • Noise Floor
  • SNR Calculation / Unit
  • Attenuation
  • Reflection / Absorption / Scattering
  • Multipath

ページ027〜028では、

ページ027
→ 無線周波数帯

ページ028
→ 無線チャネル

を確認しました。

ページ029では、無線信号そのものを、

どの程度強いか

どの程度ノイズが存在するか

信号とノイズに
どの程度の差があるか

伝搬中に
どのように弱くなるか

障害物によって
どのような現象が起きるか

というRFの観点から確認します。

重要なのは、

信号強度がある
=
無線品質が必ず良い

ではないことです。

基本手順は、

RF電力
↓
dB/dBm/dBi
↓
受信信号
↓
ノイズフロア
↓
SNR
↓
減衰
↓
反射・吸収・散乱
↓
マルチパス
↓
RF状態の解釈

です。

1. 無線はRFエネルギーを利用する

無線LANでは、

無線周波数
=
RF

を利用して情報を伝送します。

APから送信されたRF信号は、

空間

壁

床

家具

その他の物体

などを通りながら受信機へ到達します。

その過程で信号電力は変化します。

2. RFでは複数の単位を使う

ページ029で重要なのは、

dB

dBm

dBi

です。

名前は似ていますが、意味は異なります。

基本的には、

dB
→ 比率・利得・損失

dBm
→ 絶対電力

dBi
→ アンテナ利得

として区別します。

3. dBは電力比を表す

dB は、

デシベル(decibel)

です。

dBは、

2つの電力の比

を対数で表します。

したがって、

dB
=
絶対的なRF電力そのもの

ではありません。

4. dBは利得・損失の表現に使える

例えば信号が、

増加した

場合には、

+ dB

として表現できます。

反対に、

減少した

場合には、

- dB

として表現できます。

例えば、

+3 dB

-3 dB

+10 dB

-10 dB

のように扱います。

5. dBの基本式

電力比をdBで表す基本式は、

dB
=
10 log10(P2/P1)

です。

CCNAでは複雑な対数計算より、

+3 dB

-3 dB

+10 dB

-10 dB

の基本ルールを使えることが重要です。

6. +3 dBは電力約2倍

RF電力が、

+3 dB

変化すると、

電力は概算で、

約2倍

になります。

例えば、

10 mW
↓
+3 dB
↓
約20 mW

です。

7. -3 dBは電力約1/2

反対に、

-3 dB

なら、

電力は概算で、

約1/2

になります。

例えば、

100 mW
↓
-3 dB
↓
約50 mW

です。

8. +10 dBは電力10倍

+10 dB

は、

電力 10倍

です。

例えば、

1 mW
↓
+10 dB
↓
10 mW

です。

9. -10 dBは電力1/10

-10 dB

は、

電力 1/10

です。

例えば、

100 mW
↓
-10 dB
↓
10 mW

です。

10. 基本dBルールをまとめる

基本ルールは、

dB変化 電力比
+3 dB 約2倍
-3 dB 約1/2
+10 dB 10倍
-10 dB 1/10

です。

CCNAでは、

+3
→ 約2倍

-3
→ 約1/2

+10
→ ×10

-10
→ ÷10

として素早く判断できることが重要です。

11. dBは複数の利得・損失を加算できる

dB表記の利点の1つは、

利得

損失

を加算・減算として扱いやすいことです。

例えば、

+10 dB利得

-3 dB損失

なら、

合計
=
+7 dB

です。

ただしページ029では、高度なRFリンクバジェット設計までは扱いません。

12. dBmは絶対電力を表す

dBm は、

1 mW

を基準とする絶対的な電力表現です。

つまり、

dB
→ 比率

dBm
→ 絶対電力

です。

13. 0 dBm = 1 mW

dBmの基準は、

0 dBm
=
1 mW

です。

ここを基準に、

+10 dBm
=
10 mW

となります。

さらに、

+20 dBm
=
100 mW

です。

14. +30 dBm = 1 W

+30 dBm

は、

1000 mW

です。

したがって、

+30 dBm
=
1 W

です。

この関係は、dBmが絶対電力であることを理解する代表例です。

15. 負のdBmも正常な値

無線受信機で測定する信号は、

-50 dBm

-65 dBm

-80 dBm

のように、負の値になることが一般的です。

これは、

電力が負

という意味ではありません。

1 mWより小さい電力を対数表現しているためです。

16. 負のdBmは0に近い方が強い

例えば、

-50 dBm

-80 dBm

を比較します。

強いのは、

-50 dBm

です。

つまり負のdBmでは、

0に近い
=
より強い

と判断します。

17. -55 dBmと-82 dBmを比較する

受信機で、

変更前
-55 dBm

変更後
-82 dBm

となった場合、

信号は弱くなった

と判断します。

-82の方が数値として大きく見えるわけではなく、

0から遠い

ため、より弱い電力です。

18. dBmでもdB差を求められる

例えば、

電力A
-50 dBm

電力B
-60 dBm

なら、その差は、

10 dB

です。

絶対電力同士を比較した結果の差は、

dB

で表せます。

19. dBiはアンテナ利得を表す

dBi は、

等方性アンテナ

を基準とするアンテナ利得です。

つまり、

dBi
→ アンテナ利得

dBm
→ 絶対電力

dB
→ 比率・利得・損失

です。

20. 等方性アンテナとは

等方性アンテナは、

すべての方向へ
均等にエネルギーを放射する
理想的な基準アンテナ

です。

実際のアンテナ利得を、

この基準と比較

して表したものがdBiです。

21. アンテナ利得は電力を新しく作るわけではない

アンテナ利得が高いからといって、

アンテナが
RF電力そのものを生成する

わけではありません。

アンテナは、

RFエネルギーを
特定方向へ集中させる

ことで利得を得ます。

したがって、

より高いdBi
=
新しい電力を発生させる

とは考えません。

22. dB/dBm/dBiを区別する

基本対応は、

単位 主な意味
dB 電力比・利得・損失
dBm 1 mW基準の絶対電力
dBi 等方性アンテナ基準のアンテナ利得

です。

この3つを混同しないことがページ029の基礎です。

23. RSSIとは

RSSIは、

受信信号強度指標

です。

受信機側で、

受信している信号が
どの程度強いか

を判断するために使用します。

無線環境では、受信信号強度を、

dBm

で確認することが一般的です。

24. RSSIの報告方法にはプラットフォーム差がある

802.11端末の実装によっては、

RSSIの内部スケール

が異なる場合があります。

したがって、

すべてのベンダーで
RSSI数値表現が完全に同じ

とは限りません。

ページ029ではCisco無線や一般的なサイトサーベイで扱う、

受信信号強度
→ dBm

という形を中心に扱います。

25. RSSI比較では0に近い方を強いと判断する

例えば、

クライアントA
-52 dBm

クライアントB
-71 dBm

なら、

クライアントA

の方が強い信号を受信しています。

理由は、

-52

の方が、

0 dBm

に近いためです。

26. より負の値ほど弱い

RSSIを並べると、

-40 dBm
↓
-55 dBm
↓
-70 dBm
↓
-85 dBm

の順に信号が弱くなります。

つまり、

-40 dBm

は、

-85 dBm

より強い信号です。

27. RSSIだけで無線品質すべてを判断しない

信号が強くても、

ノイズが高い

場合があります。

例えば、

信号
-60 dBm

という値だけを見て、

無線品質は良好

と確定することはできません。

次に、

ノイズフロア

を見る必要があります。

28. ノイズフロアとは

ノイズフロアは、

無線環境に存在する
背景RFノイズ

の電力レベルです。

ノイズフロアも一般に、

dBm

で表します。

29. ノイズフロアも負のdBmで表される

例えば、

-95 dBm

-90 dBm

-80 dBm

のように表示されます。

ノイズでは一般に、

より負の値
=
背景ノイズが低い

と考えます。

30. -95 dBm ノイズと-80 dBm ノイズを比較する

ノイズフロア:

環境A
-95 dBm

環境B
-80 dBm

なら、

環境A

の方がノイズ電力は低いです。

つまりRF環境としては、

信号とノイズを
分離しやすい余地

が大きくなります。

31. 信号とノイズは両方dBmで確認する

例えば、

信号
-60 dBm

ノイズ
-90 dBm

のように、

受信信号

ノイズフロア

の両方をdBmで確認できます。

しかし、この2つの差を求めた値は、

dBm

ではありません。

32. SNRとは

SNRは、

信号対ノイズ比

です。

つまり、

信号

が、

ノイズ

に対して、どの程度上回っているかを表します。

33. SNRの単位はdB

信号とノイズは、

dBm

で表します。

しかしSNRは、

2つの電力の差・比率

なので、

dB

で表します。

したがって、

RSSI
→ dBm

ノイズフロア
→ dBm

SNR
→ dB

です。

34. SNRの基本計算

dBmで信号とノイズが与えられた場合、

SNR
=
信号 - ノイズ

として計算できます。

例えば、

信号
-62 dBm

ノイズ
-90 dBm

なら、

SNR
=
-62 - (-90)

=
28 dB

です。

35. 負の値を引く計算に注意する

SNR計算では、

-62 - (-90)

のように、負のdBm同士を扱います。

これは、

-62 + 90

なので、

28

です。

したがって、

SNR
=
28 dB

です。

36. 信号が同じでもノイズによってSNRは変わる

信号:

-60 dBm

が同じでも、

ノイズフロアが、

ケースA
-95 dBm

ケースB
-70 dBm

なら結果は大きく違います。

ケースA:

SNR
=
-60 - (-95)

=
35 dB

ケースB:

SNR
=
-60 - (-70)

=
10 dB

です。

37. SNRは高い方が信号とノイズを分離しやすい

前の例では、

35 dB

の方が、

10 dB

より信号とノイズの差が大きくなります。

一般に、

より高いSNR
→ 信号をノイズから
   区別しやすい

と考えます。

38. 強いRSSIだけでは十分ではない

ケースA:

信号
-55 dBm

ノイズ
-90 dBm

SNR
35 dB

ケースB:

信号
-55 dBm

ノイズ
-60 dBm

SNR
5 dB

では、

RSSI

は同じです。

しかしSNRは大きく異なります。

したがって、

強い信号
=
良好なSNR

とは限りません。

39. ノイズフロアだけでも十分ではない

ノイズフロアが低くても、

信号自体が非常に弱ければ、

SNRが十分に確保できない場合があります。

例えば、

信号
-92 dBm

ノイズ
-96 dBm

なら、

SNR
=
4 dB

です。

ノイズは低くても、信号もノイズに近すぎます。

40. SNRからノイズフロアを逆算する

次の値を考えます。

信号
-70 dBm

SNR
22 dB

基本式は、

SNR
=
信号 - ノイズ

です。

したがって、

22
=
-70 - ノイズ

なので、

ノイズ
=
-92 dBm

です。

41. SNRから信号も逆算できる

例えば、

ノイズ
-90 dBm

SNR
30 dB

なら、

信号
=
-60 dBm

です。

理由は、

-60 - (-90)
=
30

だからです。

42. 測定単位を間違えない

ページ029では単位の対応が重要です。

絶対RF電力
→ dBm

受信信号強度
→ dBm

ノイズフロア
→ dBm

電力比・利得・損失
→ dB

SNR
→ dB

アンテナ利得
→ dBi

です。

43. 減衰とは

減衰は、

信号電力が
伝搬中に低下すること

です。

日本語では、

減衰

です。

APから離れるほど信号が弱くなることも、減衰の一例です。

44. 距離によって信号は弱くなる

RF信号は、APから受信機まで伝搬する間に、

エネルギーが広がる

ため、距離が大きくなるほど受信電力は低下します。

例えば、

AP近く
-45 dBm

遠い場所
-75 dBm

のように信号強度が変化する場合があります。

45. 物体も減衰を発生させる

無線信号が、

壁

床

ドア

家具

などを通過すると、

信号電力が低下する場合があります。

したがって、

距離だけ

が減衰の原因ではありません。

46. 材質によって減衰は異なる

すべての物体が、

同じ量のRFエネルギー

を失わせるわけではありません。

例えば、

材質

厚さ

湿度

金属含有量

などによって、信号への影響は変わります。

ページ029では具体的な建材ごとの損失値暗記までは扱いません。

47. 減衰はdBで損失として表現できる

例えば壁を通過して、

-6 dB

の損失が発生したとします。

入力電力が、

-50 dBm

なら、

概念的には、

-50 dBm
+
(-6 dB)

=
-56 dBm

です。

ここでは、

絶対電力
+
利得・損失

というdBmとdBの使い分けが重要です。

48. dBmとdBを直接同じ意味として扱わない

前の例では、

-50 dBm

は絶対電力です。

-6 dB

は損失です。

結果:

-56 dBm

になります。

つまり、

dBm
+
dB
→
dBm

という形で利得・損失を反映できます。

ただし、高度なリンクバジェット計算はこのページでは扱いません。

49. 反射とは

反射は、

RF波が
物体の表面で反射する現象

です。

日本語では、

反射

です。

例えばRF信号が大きな表面へ当たり、

進行方向が変わる

場合があります。

50. 反射によって別経路が生まれることがある

受信機へ、

直接届く信号

とは別に、

壁などで反射して
届く信号

が存在する場合があります。

つまり、

直接経路

反射経路

という複数経路が生まれます。

これはマルチパスにつながります。

51. 吸収とは

吸収は、

物体が
RFエネルギーの一部を吸収する現象

です。

吸収されたエネルギーは受信機までそのまま届かないため、

受信信号電力の低下

につながる場合があります。

52. 吸収は減衰の要因になる

例えば壁を通過する際に、

RFエネルギーの一部が吸収

されれば、

通過後の信号は弱くなります。

つまり、

吸収
↓
信号エネルギーの損失
↓
減衰

という関係になります。

53. 散乱とは

散乱は、

RFエネルギーが
複数方向へ散らばる現象

です。

信号が物体や不規則な表面などへ当たったとき、

1方向だけ

ではなく、

複数方向

へエネルギーが広がる場合があります。

54. 反射と散乱を分ける

基本的には、

反射
→ 表面で跳ね返る

散乱
→ 複数方向へ散らばる

と整理します。

実際のRF環境は複雑ですが、CCNAではこの基本的な違いを判断できればよいです。

55. 吸収と反射も別

物体へRF波が到達したとき、

すべてのエネルギーが、

反射

するわけではありません。

一部が、

吸収

される場合もあります。

したがって、

反射する

吸収される

散乱する

は異なるRF現象として扱います。

56. マルチパスとは

マルチパスは、

同じ送信信号が
複数の異なる経路を通って
受信機へ到達する現象

です。

例えば、

直接経路

反射経路A

反射経路B

のような複数経路があります。

57. マルチパスでは到達タイミングが異なる

異なる経路を通る信号は、

移動距離

が異なる場合があります。

そのため受信機には、

わずかに異なるタイミング

で到着する可能性があります。

つまり、

同じ情報を持つRF信号

が複数回届くことがあります。

58. マルチパスは反射などから発生する

例えば、

AP
↓
クライアントへ直接到達

する信号と、

AP
↓
壁で反射
↓
クライアント

という信号があれば、

受信機には同じ信号が異なる経路で到達します。

これがマルチパスの代表例です。

59. マルチパスは必ず信号を改善するわけではない

複数経路から信号が到着すると、

信号同士が
加わる場合

打ち消し合う場合

歪みにつながる場合

があります。

したがって、

マルチパス
=
必ず信号強度改善

とは考えません。

60. 現行Wi-Fiはマルチパスを扱う技術を持つ

歴史的には、マルチパスは無線通信へ大きな問題を与える要因でした。

現行Wi-Fiでは、

OFDM

複数アンテナ技術

などによってマルチパス環境を扱いやすくしています。

ただし、

OFDM詳細

MIMO詳細

MU-MIMO詳細

はこのページでは扱いません。

61. 伝搬現象を区別する

基本対応は、

現象 意味
減衰 信号電力が低下する
反射 表面で信号が反射する
吸収 物体がRFエネルギーを吸収する
散乱 RFエネルギーが複数方向へ散らばる
マルチパス 同一信号が複数経路から到達する

です。

これらは関連する場合がありますが、同じ意味ではありません。

62. ケース1:信号強度を比較する

クライアントA:

RSSI
-48 dBm

クライアントB:

RSSI
-76 dBm

なら、

クライアントA
→ より強い信号

クライアントB
→ より弱い信号

です。

負のdBmでは、

0に近い方が強い

というルールを使用します。

63. ケース2:端末がAPから離れた

変更前:

-55 dBm

後:

-82 dBm

なら、

受信信号
→ より弱い

です。

これは、

APから離れることで
減衰が増えた

と説明できるシナリオです。

64. ケース3:SNRを計算する

信号:

-62 dBm

ノイズフロア:

-90 dBm

なら、

SNR
=
-62 - (-90)

=
28 dB

です。

答えは、

28 dB

です。

65. ケース4:ノイズフロアを逆算する

信号:

-70 dBm

SNR:

22 dB

なら、

22
=
-70 - ノイズ

なので、

ノイズ
=
-92 dBm

です。

66. ケース5:信号は同じだがノイズが違う

環境A:

信号
-60 dBm

ノイズ
-95 dBm

SNR:

35 dB

環境B:

信号
-60 dBm

ノイズ
-75 dBm

SNR:

15 dB

です。

同じRSSIでも、

環境A

の方が信号とノイズの差が大きいと判断できます。

67. ケース6:壁通過後に信号が弱くなる

変更前:

-52 dBm

壁通過後:

-63 dBm

なら、

11 dB

信号電力が低下しています。

このような、

信号電力の減衰

が減衰です。

68. ケース7:表面で信号が跳ね返る

RF波が壁表面へ当たり、

進行方向を変えて
受信機へ届いた

なら、

反射

です。

これによって直接経路とは異なる経路が作られる場合があります。

69. ケース8:物体がRFエネルギーを吸収する

RF信号が材質を通過するときに、

エネルギーの一部が物体へ吸収

された場合、

吸収

です。

その結果、

受信機へ届く電力が低下

する場合があります。

70. ケース9:信号が複数方向へ散る

RF波が物体へ当たり、

複数方向へエネルギーが分散

した場合、

散乱

です。

反射との違いを区別します。

71. ケース10:同じ信号が複数経路で届く

受信機へ、

直接信号

壁で反射した信号

別の物体から届いた信号

が到着する場合、

マルチパス

です。

原因となる伝搬現象には反射などがあります。

72. RF測定をまとめて読む

次の値を考えます。

RSSI
-58 dBm

ノイズフロア
-92 dBm

アンテナ利得
5 dBi

まず単位を分類します。

RSSI
→ 絶対受信電力
→ dBm

ノイズ
→ 絶対背景電力
→ dBm

アンテナ利得
→ dBi

次にSNR:

-58 - (-92)
=
34 dB

です。

73. dBとdBmを混同すると計算を誤る

例えば、

SNR
28

を、

28 dBm

とは書きません。

SNRは比率なので、

28 dB

です。

同様に、

RSSI
-62

なら、この教材では、

-62 dBm

として扱います。

74. dBiを受信電力として読まない

例えば、

アンテナ利得
5 dBi

と書かれていても、

受信機が5 dBmを受信している

という意味ではありません。

dBi は、

アンテナ利得

です。

dBm とは役割が異なります。

75. 信号強度不足とノイズ増加を分ける

低いSNRには、大きく見ると、

信号が弱くなった

場合と、

ノイズフロアが上昇した

場合があります。

例えば、

ケースA:

信号
-85 dBm

ノイズ
-95 dBm

ケースB:

信号
-60 dBm

ノイズ
-70 dBm

は、どちらも、

SNR
10 dB

です。

しかしRF状態は異なります。

76. ページ029では干渉源までは確定しない

例えばノイズフロアが、

-95 dBm
↓
-70 dBm

へ上昇している場合、

RF環境に
強いノイズが存在する

という情報になります。

しかし、

Bluetooth

マイクロ波

隣接チャネル

同一チャネル

など、

何が原因なのか

具体的な干渉原因の分類はページ031で扱います。

77. RF値を単独で暗記しない

例えば、

-67 dBm

のような値が無線設計ガイドラインで使われることがあります。

しかしページ029で重要なのは、

特定の固定値だけ

を暗記することではありません。

重要なのは、

RSSIが強いか弱いか

ノイズが高いか低いか

SNRがどの程度か

それらがどのように関連するか

を判断できることです。

78. SNRの大小を比較する

クライアントA:

SNR
32 dB

クライアントB:

SNR
12 dB

なら、

クライアントA

の方が信号とノイズの差が大きい状態です。

したがって、

より高いSNR

をより良いRF条件として判断できます。

79. ノイズフロアでは0に近い方がノイズが強い

ノイズA:

-95 dBm

ノイズB:

-75 dBm

なら、

-75 dBm

の方がノイズ電力は強いです。

信号強度と同じく、

0 dBmに近い
=
絶対電力が大きい

というdBmのルールを使います。

80. RSSIとノイズで「負の数」の直感に注意する

数値だけ見ると、

-90
<
-60

です。

しかし電力比較では、

-60 dBm

の方が強いです。

したがって、

より負
→ 弱い電力

0に近い
→ 強い電力

として判断します。

これはRSSIとノイズフロアの両方で共通です。

81. 基本RF解釈手順

RF状態を見るときは、

1. RSSIを確認

        ↓

2. ノイズフロアを確認

        ↓

3. SNRを計算

        ↓

4. 信号が弱いのか
   ノイズが高いのかを分ける

        ↓

5. 減衰や
   伝搬環境を確認

        ↓

6. 必要なら
   干渉原因分析へ進む

という手順で考えられます。

82. 伝搬手順

APから送信された信号は、

送信
↓
空間を伝搬
↓
距離による損失
↓
物体との相互作用
↓
反射
吸収
散乱
↓
複数経路が形成される場合
↓
マルチパス
↓
受信機へ到達

という形で考えることができます。

83. よくある誤判断

誤り1:dBとdBmは同じ

dBは比率、dBmは絶対電力です。

誤り2:dBiは信号強度

dBiはアンテナ利得です。

誤り3:-80 dBmは-50 dBmより強い

0に近い-50 dBmの方が強いです。

誤り4:負のdBmは負の電力を意味する

1 mWより小さい電力を対数で表現しています。

誤り5:+3 dBで電力は3倍

約2倍です。

誤り6:+10 dBで電力は2倍

10倍です。

誤り7:RSSIが強ければ必ずRF状態は良好

ノイズフロアとSNRも確認します。

誤り8:ノイズフロアの-70 dBmは-95 dBmより低ノイズ

-70 dBmの方がノイズ電力は強いです。

誤り9:SNRの単位はdBm

SNRは比率なのでdBです。

誤り10:SNR = ノイズ - 信号

基本計算は信号 - ノイズです。

誤り11:減衰は干渉と同じ

減衰は信号電力の損失です。

誤り12:反射と吸収は同じ

反射は反射、吸収はRFエネルギーの吸収です。

誤り13:散乱はエネルギーを1方向へ集中させる

複数方向へ散らばる現象です。

誤り14:マルチパスは必ず信号を改善する

複数経路の信号は加算・減算・歪みにつながる場合があります。

誤り15:ノイズが高ければ原因は必ず電子レンジ

具体的な干渉源分類はページ031で行います。

84. 単位選択手順

電力比を表したい
↓
dB
絶対RF電力を表したい
↓
dBm
受信信号強度を表したい
↓
dBm
ノイズフロアを表したい
↓
dBm
信号とノイズの差を表したい
↓
dB
アンテナ利得を表したい
↓
dBi

85. SNR計算手順

信号
-62 dBm

ノイズ
-90 dBm

        ↓

SNR
=
信号 - ノイズ

        ↓

-62 - (-90)

        ↓

28

        ↓

28 dB

単位まで含めて判断します。

86. 最終的に判断できるようにすること

ページ029では最終的に、

dBが
電力比・利得・損失を
表すと説明できる

dBmが
1 mW基準の絶対電力だと
説明できる

0 dBm = 1 mWを
判断できる

dBiが
等方性アンテナ基準の
アンテナ利得だと説明できる

dB/dBm/dBiを
区別できる

+3 dB
→ 電力約2倍

-3 dB
→ 電力約1/2

+10 dB
→ 電力10倍

-10 dB
→ 電力1/10

を判断できる

負のdBmでは
0に近い方が強いと判断できる

RSSIから
受信信号強度を
比較できる

ノイズフロアを
背景RFノイズとして
説明できる

ノイズフロアの
dBm値を比較できる

SNR =
信号 - ノイズ
を計算できる

RSSIとノイズはdBm

SNRはdB

と区別できる

信号とSNRから
ノイズフロアを逆算できる

同じRSSIでも
ノイズによってSNRが変わると
判断できる

減衰を
信号電力の損失として
説明できる

距離や物体が
減衰に関係すると
説明できる

反射を
反射として説明できる

吸収を
RFエネルギーの吸収として
説明できる

散乱を
RFエネルギーが複数方向へ
散らばる現象として
説明できる

マルチパスを
同一信号が複数経路で
到着する現象として
説明できる

反射と
マルチパスの関係を
説明できる

マルチパスが
必ず信号を改善するわけではないと
判断できる

信号強度不足と
ノイズ上昇を
分離して考えられる

RF値から
基本的な無線状態を
説明できる

必要があります。

まとめ

ページ029では、無線RFを評価するための、

dB

dBm

dBi

RSSI

ノイズフロア

SNR

を確認しました。

基本対応は、

dB
→ 比率・利得・損失

dBm
→ 絶対電力

dBi
→ アンテナ利得

です。

基本dBルールは、

+3 dB
→ 約2倍

-3 dB
→ 約1/2

+10 dB
→ 10倍

-10 dB
→ 1/10

です。

受信信号強度とノイズフロアは、

dBm

で比較します。

負のdBmでは、

0に近い
→ より強い電力

より負
→ より弱い電力

です。

SNRは、

SNR
=
信号 - ノイズ

で求め、

単位は、

dB

です。

例えば、

信号
-62 dBm

ノイズ
-90 dBm

なら、

SNR
=
28 dB

です。

RF信号は伝搬中に、

減衰

によって弱くなります。

また物体との相互作用によって、

反射

吸収

散乱

が発生します。

反射などによって、

同じ信号が
異なる経路を通って
受信機へ届く

現象が、

マルチパス

です。

最終的なRF解釈は、

RSSI
↓
ノイズフロア
↓
SNR
↓
減衰
↓
伝搬環境
↓
RF状態を説明

という流れで考えます。

次のページ030では、

無線セキュリティ

へ進み、

認証

暗号化

WPA2

WPA3

など、無線LANを保護するセキュリティプロトコルの役割を扱います。


理解確認

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